こんにちは、トシゾーです。
今回は、宅建とFP(ファイナンシャルプランナー)のダブルライセンスに関する記事です。
宅建とFPは、どちらも人気の資格ですが、前者が不動産系の資格・後者が金融系の資格ということで、「あまり関係のない資格では?」と思う方もいるかも知れません。
しかし、この2つの資格は関連が深く、両資格を合わせて取ることで、大きな相乗効果(シナジー)が発揮できるのです。
宅建とFPのダブルライセンスには、どのような相乗効果があるのか?・・・・この記事では詳しく説明していきます。
ぜひチェックして頂き、宅建とFPのダブルライセンスを実現して、大きなメリットを享受して欲しいと思います。
宅建とFPの仕事内容の違い!
まず最初に、FPと宅建の仕事内容の違いから簡単に見ていきましょう。
- FPは個人の顧客に対して、ライフプランを考えたり資金計画のアドバイスをしたりする
- 宅建士は主に不動産会社に勤務し、不動産の売買や賃貸物件を斡旋する際に顧客に対して詳しい説明を行う
FPは銀行や信用金庫、保険会社だけではなく、不動産会社に就職したり転職したりするケースもあります。というのも、不動産を購入する顧客にとって、資金計画は非常に重要な検討事項であり、資金計画のアドバイスができるFPは不動産会社にとっても貴重な存在だからです。
つまり、FPと宅建は非常に相性の良い資格というわけですね。
宅建とFPの資格試験や受験資格の違い!
宅建士やFPになるには、どちらも試験に合格しないといけません。
宅建の試験は年齢や学歴に関係なく、誰でも受験することができます。毎年20万人以上の方が受ける国家試験であり、合格後、宅建士となることで、宅建士にしかできない独占業務を行うことが許されます。
※宅建の独占業務などについて詳しくは、下記の記事をチェックしてください。
一方のFPには、国家資格(検定)のFP技能士(1~3級)と民間資格のCFP/AFPなどがあります。
このうち、国家資格のFP技能士においても、独占業務はありません。「FP技能士を名乗ることができるのは、試験に合格した者だけである」という名称独占資格です。
つまり、FPの資格を持っていない方(無資格の方)でも、FP(ファイナンシャルプランナー)の業務はすべて実施できるのです。
とはいえ、国家資格であるFP技能士を持つことで、顧客から安心して信頼してもらえますから、FP業務を行うのであれば、FP資格を取得しておくのがベターです。
同じ国家資格でも、3級FP技能士だと初級レベルで信頼性に劣るため、宅建とのダブルライセンスを目指すのであれば、2級FP技能士は取っておきたいところ。
ただし、2級FP技能士には受験資格があり、次のいずれかをクリアしている必要があります。
- 3級FP技能士試験に合格している
- 2年間以上のFP業務に関する実務経験を有している
- 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了している
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級に合格している
参考:FP試験の受検資格(日本FP協会) https://www.jafp.or.jp/exam/qualification/
初級レベルの3級FP技能士の試験は誰でも受験できますが、2級の試験は受験資格があると心得ておきましょう。
宅建とFPのダブルライセンスのメリット!
国家資格を保有していると、就職活動や転職活動で大いに役立ちます。
他者と差別化を図ることができますので、自分のアピールにはもってこいですね。
宅建とFP、どちらの資格にも良い部分はありますが、更なるスキルアップを目指すなら宅建とFP2級のダブルライセンスがおすすめ!
このページでは、宅建とFP2級のダブルライセンスのメリットを詳しくまとめてみました。
試験内容で似ている部分がある
宅建とFP2級は、試験内容で似ている部分があります。
つまり、どちらか片方の資格を持っていればその知識を次の資格の勉強に活かすことができますので、ダブルライセンスを目指しやすいわけです。
FPの試験科目は次の6つで、それぞれの学ぶ内容を解説していきます。
- ライフプランニングと資金計画:健康保険や年金、社会保険の基本を学ぶ
- リスク管理:生命保険や火災保険、生命保険控除などの税金の優遇を学ぶ
- 金融資産運用:株や外貨預金などの資産運用について学ぶ
- タックスプランニング:所得税の損益通算や退職所得控除など税金について学ぶ
- 不動産:不動産に関する税金や建蔽率と容積率に関する内容を学ぶ
- 相続:相続税の計算や贈与税など相続について学ぶ
FPの試験科目の中には不動産がありますので、宅建試験の勉強に活かせるのは間違いありません。
宅建試験では、宅建業法・民法・建築に関わる様々な法令などについて学びますが、FPの資格保有者は有利に勉強を進められますよ。
不動産投資を考える顧客に手厚いサポートができる
FPと宅建士のダブルライセンスは、不動産投資を考える顧客やクライアントに手厚いサポートができるのが大きなメリットです。
現在では下記のように土地や建物を有効活用して収益を生み出す不動産投資が注目を集めています。
- 空地やマンションの購入で賃貸収入を得る
- コインパーキングの設置で駐車場収入を得る
- 太陽光発電を設置して売電収入を得る
賃貸アパートやコインパーキングの仲介は宅建の仕事です。
しかし、宅建士の資格だけでは顧客に対して資産運用に関するアドバイスができません。
もしFPの資格を持っていれば、土地の有効活用のアドバイスや資産運用のやり方に関する助言もできますので、宅建とのダブルライセンス者は重宝されています。
転職活動で有利になる
FPと宅建のダブルライセンスは、転職活動で有利になります。
以下では、それぞれの資格を活かせる転職先をいくつか挙げてみました。
- FPの転職先:「保険会社の営業職」「証券会社の営業職」「不動産会社」「自動車販売会社」
- 宅建士の転職先:「不動産業界」「金融業界」「保険会社」「建築業界」
不動産業界や金融業界への転職を考えているのであれば、FPと宅建は是非とも取得したい資格ですね。
単体で資格を持っている転職者よりも、FPと宅建のダブルライセンスの方が、その他大勢の転職希望者から差別化できるので、自分をおおいにアピールできます。
※宅建資格を活かした転職については、下記の記事も参考にしてください。
コンサルタントとして活躍できる
企業内で働くとしても独立開業するにしても、FPと宅建のダブルライセンスはコンサルティングの仕事で大いに役立ちます。
それは2つの資格を取得することで、不動産の売買や税金相談、顧客の人生設計などトータルのアドバイスができるようになるからです。
具体的にFPと宅建のダブルライセンスで、どのようなコンサルティング業務を行えるのか見ていきましょう。
- 宅建の資格を活かして不動産の購入を勧める際に、FPの知識で理想的な買い方や資金繰りのやり方を解説する
- 最近流行っている不動産投資の方法を解説しながらも、FPの知識で長期的な資金運用方法を指導する
顧客の住生活や不動産投資を専門分野として強みを持つコンサルタントとして活躍したい方は、FPと宅建のダブルライセンスを目指してみてください。
FP2級と宅建を試験の難易度で比較!
FPと宅建のダブルライセンスはメリットが大きいのですが、「試験に合格するのは難しいのでは…」と不安を抱えている方は少なくありません。
どちらの資格も決して簡単ではありませんが、税理士や公認会計士などの国家資格と比較してみるとハードルは低いですよ。
ここではFP2級と宅建の試験を難易度で比較するために、合格率のデータをまとめてみました。
FP2級の試験日 | 学科試験の合格率 | 実技試験の合格率 |
---|---|---|
2017年1月 | 39.43% | 63.87% |
2017年5月 | 41.44% | 46.79% |
2017年9月 | 47.82% | 58.34% |
2018年1月 | 45.63% | 57.45% |
2018年5月 | 42.93% | 51.68% |
2018年9月 | 39.47% | 50.52% |
2019年1月 | 48.26% | 50.31% |
2019年5月 | 40.17% | 62.65% |
2019年9月 | 43.42% | 62.63% |
2020年1月 | 41.86% | 62.61% |
ファイナンシャルプランナーの試験の合格率は、学科試験が40%~50%、実技試験が50%~60%で推移しています。
次に宅建試験の受験者数や合格率を見ていきましょう。
宅建の試験日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
平成24年度 | 191,169人 | 32,000人 | 16.7% |
平成25年度 | 186,304人 | 28,470人 | 15.3% |
平成26年度 | 192,029人 | 33,670人 | 17.5% |
平成27年度 | 194,926人 | 30,028人 | 15.4% |
平成28年度 | 198,463人 | 30,589人 | 15.4% |
平成29年度 | 209,354人 | 32,644人 | 15.6% |
平成30年度 | 213,993人 | 33,360人 | 15.6% |
令和元年度 | 220,797人 | 37,481人 | 17.0% |
単純に合格率で比較してみると、FP2級の試験よりも宅建の試験の方が難易度が高くなっています。
しかし、FPの実技試験の試験形式は記述式です。
宅建の試験形式は4択のマークシート方式ですので、「○○○の方が難しい」と一概に決め付けることはできません。
どちらの試験の合格を目指すにしても、テキストをじっくりと読み込んだり過去問を徹底して解いたりといった対策が必須です。
※宅建の難易度については、下記の記事も参考にしてみてください。
FP2級と宅建を試験に合格するまでの勉強時間で比較!
FP2級と宅建を試験に合格できるまでの勉強時間で比較してみると、次の違いがあります。
- FP2級試験に合格できるまでは150時間~300時間の勉強が必要
- 宅建試験に合格できるまでは250時間~300時間の勉強が必要
他の国家資格の試験と比較してみると、FP2級と宅建は短い勉強時間で合格できることがわかりますね。
どちらも真剣に取り組めば一発合格できる試験ですから、1年頑張ればダブルライセンスを実現することは可能です。
ぜひ、期限を決めて取り組むことを検討してみてください。
※宅建の勉強時間については、下記の記事も参考にしてみてください。
FP2級と宅建は同時に取れる?
FP2級は年に3回、1月・5月・9月に検定があります。
一方、宅建は原則年1回で10月に試験があります。ちなみに「原則」と書いたのは、宅建受験申込者が多くて10月の会場に収容できなさそうな場合、一部の受験者だけ12月試験に強制振替されるケースがあるからです。
※10月試験か12月試験を選ぶことはできません。
さて、本題のFP2級と宅建の同時取得ですが、たとえば以下のパターンが考えられます。
- 宅建10月試験とFP2級の9月試験を申し込む
- 宅建10月試験とFP2級の翌年1月試験を申し込む
どちらも非現実的ではありません。W合格の可能性は十分にあります。
ただ、勉強時間が足りないのに無理してW試験にこだわるのは良くありません。
勉強時間が足りない人は、早い段階で宅建一本に絞ってください。
前述のとおり、宅建は年1回の試験なので、不合格になってしまうと1年後までリベンジのチャンスがないからです。
一方、FP2級は不合格でも4か月後に再受験ができます。
以上のような観点から、10月宅建に向けて試験勉強は宅建一本に絞り、宅建受験後に翌年1月のFP2級検定の勉強をする、というのが理想的だと思います。
まとめ
以上、FPと宅建のダブルライセンスのメリットについておわかり頂けましたか?
2つの資格を持っていると転職で役立てられるだけではなく、幅広い業務をこなして顧客やクライアントの満足度を高められます。
FPと宅建は試験内容も被る部分がありますし、両方を取得すれば大きな差別化もできますので、スキルアップを目指してダブルライセンスを目指してみてください。
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著者情報 | |
氏名 | 西俊明 |
保有資格 | 中小企業診断士 , 宅地建物取引士 |
所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |