宅建の試験の難易度はどう?
こんにちは、トシゾーです。
宅地建物取引士(宅建士)になるには、毎年1回のペースで実施されている宅建の試験に合格しないといけません。
毎年多くの人が受験している人気の国家資格ですが、「宅建の試験の難易度はどうなの?」と疑問に感じている方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、宅建試験の難易度について説明したいと思います。
宅建試験の合格率は15~17%
宅建試験は「法律系の資格の登竜門」と呼ばれることもあり、司法書士や行政書士などの他の法律系国家資格と比べると、宅建の試験はそこまで難しくはない、といわれます。
まずは、客観的に試験の難易度を計るために合格率を見てみましょう。
宅建試験の合格率は15%~17%と非常に低く、その理由をいくつか挙げていきます。
- 「○○○が条件」と試験の受験資格の制限が設定されていない(誰でも受験できる)
- 不動産を取り扱う業種では、入社してから宅建の受験勉強をさせることが多い(受験者数が多く、会社からの指示のため勉強不足でも受験しなければならない)
- 受験者数に応じて合格点のボーダーラインが変化する相対評価方式が採用されている(問題が易しくて高得点の受験生が多い場合、合格点を上げることができる)
合格率の低さで見てみると、宅建の試験の難易度はかなり高いです。
「とりあえず受験してみようかな~」という方も多いため、試験の難易度を上げて簡単に合格できないようにしています。
宅建の試験の出題範囲や出題数
試験の出題範囲は、大きくわけると「宅建業法」「民法等」「法令上の制限」「税その他」の4つです。
「意外と範囲は狭いね」と思っている方も多いでしょうが、科目ごとに細かく問題が分かれているのです。
以下では、宅建の試験の出題範囲や出題数についてまとめてみました。
- 宅建業法(19問)
- 住宅瑕疵担保履行法(1問)
- 都市計画法(2問)
- 建築基準法(2問)
- 国土利用計画法(1問)
- 農地法(1問)
- 宅地造成等規制法(1問)
- 土地区画整理法(1問)
- 民法(10問)
- 借地借家法(2問)
- 区分所有法(1問)
- 不動産登記法(1問)
- 国税(1問)
- 地方税(1問)
- 不動産鑑定評価基準、地価公示法(1問)
- 住宅金融支援機構(1問)
- 景品表示法(公正競争規約)(1問)
- 統計(1問)
- 土地、建物(1問)
試験は全部で50問で、販売されている宅建業のテキストや問題集も4つの科目に則って編集されています。
試験の出題範囲が広くて幅広い内容の学習をする必要がありますので、宅建の難易度はそれなりに高いのです。
宅建の試験の受験者数や合格者数
宅建試験の難易度の高さは、受験者数や合格者数、合格基準点も参考にすべきです。
ここでは宅建の試験に関する詳細のデータを見ていきましょう。
年度 受験者数 合格者数 合格基準点 合格率
2008年 209,415人 33,946人 33点 16.2%
2009年 195,515人 34,918人 33点 17.9%
2010年 186,542人 28,311人 36点 15.2%
2011年 188,572人 30,391人 36点 16.1%
2012年 191,169人 32,000人 33点 16.7%
2013年 186,304人 28,470人 33点 15.3%
2014年 192,029人 33,670人 32点 17.5%
2015年 194,926人 30,028人 31点 15.4%
2016年 198,463人 30,589人 35点 15.4%
2017年 209,354人 32,644人 35点 15.6%
2018年 213,993人 33,360人 37点 15.6%
2019年 220,797人 37,481人 35点 17.0%
2020年 168,989人 29,728人 38点 17.6% ※10月試験(注)
2020年 35,261人 4,610人 36点 13.1% ※12月試験(注)
2021年 209,749人 37,579人 34点 17.9% ※10月試験(注)
2021年 24,965人 3,892人 34点 15.6% ※12月試験(注)
(注)2020年(令和2年)および2021年(令和3年)は、感染症対策の観点から2回に分割されて宅建試験が行われました。
宅建試験の合格基準点は34~38点
宅建試験は相対試験のため、合格基準点は毎年変わります。
おそらく、試験実施者側には、以下のような意図があると考えられます。
- 【推測1】毎年の合格者を3万人程度としたい
- 【推測2】毎年の合格率を15~17%程度としたい
上記は私の推測ですが、このどちらかの考え方をもとに、合格基準点が定められているようです。
カンタンに言えば、受験生全体のレベルが高ければ合格基準点は上がる傾向にありますが、70%以上の正解率は確保すれば、合格できる確率は高まりますよ。
宅建試験は難化している?
以前は合格基準点が31点~33点の時もありましたが、最近は合格基準点が上昇傾向にあります。
特に2020年(平成2年/10月試験)は38点が合格基準点となり、改めて「宅建試験の難化傾向」が話題となりました。
これは「試験の出題内容の難化」ではなく、受験生全体のレベルが向上したための「合格することへの難化」といえます。
2020年(10月試験)の次に合格基準点が高かったのは、2018年(平成30年度)の37点でした。
一方で、その翌年の2019年度(令和元年)試験は合格基準点が35点となり、見た目上は以前のレベルに戻りましたが、実際は出題内容の難易度が上がっており、多くの受験生が手を焼く結果になっています。
宅建試験の難化には、士業化が関連している
近年、宅建が宅地建物取引主任者から宅地建物取引士へと変更され、士業の仲間となったことが、宅建試験の難化に大きく関連していると考えられます。
というのも、士業化により、より専門性の高さが求められるようになったからです。
また、宅建の士業化に伴い、士業を目指すかたにも「比較的取得しやすい士業の資格」として注目を浴びることになり、レベルの高い受験者が増加してきました。
その結果、難易度が上がることになったのです。
※宅建の士業化について詳しくは、下記の記事も参考にしてください。
宅建の試験の難易度!勉強時間はどのくらい?
宅建の勉強時間は初学者で200時間~300時間、経験者で100時間~150時間
宅建の試験は出題範囲が広くて難易度が高いため、長い勉強時間の確保が必要だと考えておかねばなりません。
勉強のやり方によって差はあるものの、目安の勉強時間は初学者で200時間~300時間、経験者で100時間~150時間です。
不動産業界で働いた経験をお持ちの方は、短い勉強時間でも宅建の試験に合格できますよ。
250時間の勉強を行うと仮定して、1日の勉強時間別で学習期間の目安をまとめてみました。
- 1日に1時間で8ヵ月(2月中旬から学習スタート)
- 1日に2時間で4ヵ月(6月中旬から学習スタート)
- 1日に3時間で3ヵ月(7月中旬から学習スタート)
- 1日に4時間で2ヵ月(8月中旬から学習スタート)
あまりにも早くから学習を始めると、途中でだらけてモチベーションの維持が難しくなりますので、1日の平均勉強時間に合わせて学習をスタートする時期を決めるのが宅建の試験に合格する上で押さえておきたいポイントです。
なお、宅建試験の合格に必要な勉強時間の詳細や、どのような順番で勉強すればよいのか、などについては、
下記の記事に詳細に説明してありますので、よろしければ参考にしてください。
宅建の試験は大学生でも合格できる?
宅建の試験に受験資格はなく、20歳未満の未成年者でも受けることができます。
平成29年度試験では13歳、平成18年度試験では12歳で合格した少年がいました。
つまり、勉強をして正しい知識を身につければ宅建の試験に合格できますので、大学生にもおすすめの資格ですね。
なぜ大学生に宅建の試験が向いているのかいくつか見ていきましょう。
- 大学で勉強した法律の知識を活かして効率良く勉強できる(法学系の学部の場合)
- 就職活動をバックアップしてくれる(自分のアピール要素になる)
- 不動産業界を志望するなら内定獲得率が遥かにアップする
本気で学習すれば一発合格も不可能ではありませんので、将来のために大学生も試験勉強を始めてみてください。
宅建の試験の難易度!偏差値ランキングをまとめてみた
宅建の試験の難易度が他の資格と比較してどうなのか、偏差値ランキングを見ていきましょう。
ここでは、宅建の難易度がどのくらいなのか確かめるために、口コミサイトなどを参考にして偏差値ランキングをまとめてみました。
- 偏差値77:「国家公務員」「公認会計士」
- 偏差値76:「司法書士」「JPO」
- 偏差値75:「税理士」「司法試験予備試験」
- 偏差値74:「医師」「不動産鑑定士」
- 偏差値73:「裁判所事務官」
- 偏差値72:「国立国会図書館職員」
- 偏差値71:「ITストラテジスト試験」
- 偏差値70:「参議院事務局衛視」「外務省専門職員」
- 偏差値57:「宅建士(宅地建物取引士)」「社会福祉士」「情報セキュリティ技術認定試験」
- 偏差値56:「建築士(二級)」
- 偏差値55:「危険物取扱者(甲種)」
- 偏差値41:「賃貸不動産経営管理士」
実際には、資格試験に正式な偏差値はなく、あくまでも目安ですが、超難関資格と比べてみると、宅建の試験の偏差値は低くなっています。
公認会計士や司法書士と比較すれば遥かに合格しやすい資格ですので、サラリーマンが働きながら宅建の試験に合格することも十分に可能です。
宅建の試験の難易度!他の資格と比較して難しい?
以下では、宅建の試験と他の比較を難易度で比較してみました。
宅建の難易度 社会保険労務士(社労士)との比較
社労士は人事労務や社会保険・労働保険のエキスパートを育成する国家資格です。
社労士の合格率は4%~6%であり、また合格に必要な勉強時間は800~1,000時間程度と言われています。
合格率・勉強時間から、宅建より難易度が高いことが分かります。
宅建の難易度 マンション管理士との比較
マンション管理士は、マンション管理における総合的なコンサルティングを主業務とする専門家の資格です。
マンション管理士の合格率は8~9%であり、また合格に必要な勉強時間は250~500時間程度と言われています。
合格率・勉強時間から、宅建より難易度が高いことが分かります。
宅建の難易度 管理業務主任者との比較
管理業務主任者は、マンション管理業者の中に一定数必要な有資格者で、合格率は20%以上と宅建よりも高くなっています。
合格に必要な勉強時間は150~300時間程度と言われており、マンション管理士よりも低くなっています。
宅建と比べると、勉強時間は同じぐらいですが、合格率が宅建のほうが低いため、難易度は宅建のほうが少し上といえるでしょう。
宅建の難易度 土地家屋調査士との比較
土地家屋調査士とは、不動産の表示に関する登記の申請手続などを行う専門資格のことです。
必要な勉強時間は1,000~1,200時間程度、また合格率は6%~7%と低くなっており、明らかに宅建より難易度の高い資格です。
なお、宅建からステップアップする目的で取得する人が多い資格でもあります。
宅建の難易度 不動産鑑定士との比較
不動産鑑定士は土地の公示価格を決めることが主な業務であり、最終合格率は2%~3%と宅建よりも遥かに難易度が高くなっています。
また資格取得のためには、試験合格後に1~2年の実務修習を受ける必要があり、かなりハードルの高い資格といえるでしょう。
宅建の難易度 登録販売者(国家資格)との比較
登録販売者とは、一般用医薬品販売を行うための資格です。必要な勉強時間は100~150時間といわれています。また、登録販売者の合格率は40~50%と宅建と比べ遥かに高いものになっています。
よって、登録販売者のほうが宅建よりもかなり難易度が低いといえるでしょう。
宅建の難易度 簿記2級との比較との比較
簿記2級は一般企業の経理のレベルを想定した試験です。
合格率や勉強時間で比較してみると、宅建と簿記2級は同じくらいのレベルだと考えられます。
宅建の難易度 中小企業診断士との比較との比較
中小企業診断士は経営コンサルタントの国家資格であり、その試験範囲は広範なものとなっています。
経営戦略・マーケティングから財務・会計、ITや法務などについても出題され、必要な勉強時間は1,000~1,200時間となります。
また、1次試験と2次試験に分かれており、これらをストレートで突破する合格率はわずか4%しかありません。
宅建よりかなり難易度の高い試験といえるでしょう。
宅建の難易度 FP1級との比較との比較
FP(ファイナンシャルプランナー)は個人や家庭のお金に関する深い知識を持ち、顧客をサポートする専門家です。
そのなかでもFP1級は最上位の資格であり、500~600時間の勉強時間・平均合格率10%程度と、宅建より難易度の高い資格となっています。
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ここまで見たように、社労士やマンション管理士など、宅建よりも難しい資格はたくさんあります。
中には宅建と深い関わりのある資格もありますので、ステップアップする目的でダブルライセンスを目指すのも選択肢の一つです。
宅建と他の資格のダブルライセンスについては、下記記事を参考にしてください。
宅建に独学で合格できる?
宅建は、初学者の場合、合格まで300時間ほど必要な難易度の高い試験です。
ただし、他の士業の資格は1,000時間以上必要なものも多く、士業の資格の中では、宅建試験は比較的取りやすい資格とも言えます(あくまで、士業の資格の中での話ですが)
実際にテキストや問題集だけを使って独学合格された方も多くいます。
ただし、独学で合格した人の中には、不動産関連の企業に勤務しているなど、業務上宅建の知識を持っていた方も多くいます。
不動産に関する知識がゼロから始める場合、かなり骨の折れる試験には間違いありませんので、それなりの覚悟と勉強量が必要になると考えて間違いないでしょう。
※宅建の独学勉強法については、下記の記事も参考にしてください。
独学と資格スクール、どっちがおすすめ?
ここでは、資格スクールに通学した場合に比べた、独学のメリットとデメリットを確認しておきます。
独学のメリットとデメリット
独学のメリット
宅建の資格取得に向けて、独学を選ぶメリットは、まず費用の点でしょう。
テキスト、問題集などの教材をどれぐらい買い込むか、通信講座を利用するかどうかなどにもよりますが、資格予備校の通学講座の費用に比べれば圧倒的に安上がりです。
また、予備校に通う場合のように拘束される時間がないことも、多くが仕事を持ちながら受験勉強をしなければならない宅建の受験生には重要な要素となります。
独学のデメリット
一方、独学のデメリットには、どのようなものがあるでしょうか?
まず、独学の場合、合格するために
「何をどれだけやらなければならないか」
という見積もりが自分の判断に委ねられることになります。
この見積もりをしっかりと行うことができればいいのですが、それが難しいことが独学のデメリットと言えるでしょう。
宅建の試験範囲の全体像を把握し、それに対する自分のレベルを勘案しつつ、資格取得に向けた学習計画を立てることができるかどうか、それは、初めての受験生が独学で挑戦するのは、少し難易度が高いでしょう。
加えて、やるかやらないかは自分次第なので、長丁場の受験勉強期間を乗りきる意思力と自己管理能力も、独学には、より求められるのではないでしょうか。
宅建試験における独学のメリットとデメリットについては、以下の記事にもまとめてありますので、よろしければ参考にしてください。
スクール通学のメリットとデメリット
スクール通学のデメリット
次に、宅建の資格取得に向けて、資格予備校などに通う場合について見ていきましょう。
資格予備校に通う場合は、主に土日や仕事が終わってからということになります。
独学とは違い、通学するための時間的な制約が生まれますし、費用も数十万円かかることになります。
スクール通学のメリット
その代わり、独学と違って、勉強の進め方は楽ちんです。
宅建の資格予備校の通学講座のメリットは教材とカリキュラムが与えられるので、それに乗っかればいいということになります。
得意不得意など学習量を調整する部分も出てきますが、基本的にはカリキュラムに沿って勉強を進めればいいので、自分が宅建の資格試験に合格するために何が必要なのかを明確にしながら勉強を進めることができますよね。
また、理解の不足している部分を講師に直接講師に聞くことができたり、受験仲間ができることが刺激につながったりということもあり、受験環境に身を置くという点では、独学にはないメリットも多いと言えるでしょう。
独学勉強法 ~全体編
ここでは、独学勉強法について説明します。
独学では過去問をうまく使え!
過去問は重要!
という話は、どんな国家試験でも言われることです。
しかし、そのなかでも特に、宅建において過去問は重要です。
というのも、他の国家試験に比べ、宅建においては、過去問からの出題が非常に多いのです。
宅建試験において、過去問は、ただの実力テストではありません。
過去の出題傾向や問題文のクセ、問題のパターンなどを学ぶための最高のインプット教材なのです。
宅建の試験では、過去問をどのくらい上手に使うかで合格不合格が決まると言っても過言ではありません。
さすがに初学者の方が「過去問だけで合格する」というのは無謀かも知れません。
しかし、経験者の方や法律知識がある程度ある方でしたら、まずは10年分の過去問を徹底的に解くことで、十分合格レベルに達することができます。
初学者の方も、いつまでもテキスト(基本書)を読むのではなく、はやい段階で過去問に取り組むことが重要です。
その他、過去問を使った勉強法の詳細については、以下の記事も参考にしてください。
独学でも模試だけは受ける
独学の方も、模試だけは受験するようにしてください。
できれば、本番さながらに実施される「会場模試」がベストです。
宅建試験に備えて模試を受けることはメリットだらけです。
以下、宅建の模試を受験するメリットについて見ていきましょう。
- 本試験と同じような環境で受験する形になるため、本番の直前に予行演習ができる
- 問題の時間配分や解く順番など、日々の勉強では難しい部分を掴むことができる
- 「知識を上手く当てはめられない」「覚えたはずの条文が出てこない」など、普段の学習では見えてこない課題を把握できる
- 自分が得点できなかった部分の苦手科目を分析し、克服して確実に点数を伸ばすことができる
- その年の本試験に出題される可能性の高い問題をチェックして集中的に補強できる
逆に、模試を受けるデメリットは・・・、「模試を受けすぎて、本来の勉強時間が削られる」「費用が発生する」ぐらいしか思い当たりません。
いきなり本試験に挑むよりも、模試で解き方のコツを把握していれば得点を取れる可能性が高いのです。
それに加えて自分の学習の進み具合を確認したり苦手分野を補強したりといった対策もできますので、宅建の模試のメリットが大きいとおわかり頂けるのではないでしょうか。
その他、宅建試験の模試活用の詳細については、以下の記事も参考にしてください。
科目別の独学勉強法
つづいて、科目別の独学勉強法を見ていきましょう。
宅建業法の独学勉強法
宅建試験の4科目の中で、もっとも出題数が多く、かつ、もっとも易しいと言われているのが宅建業法です。
出題数の多さに関わらず、宅建業法の条文は90条もありません。1,000条を超える民法とは対照的に、数少ない条文から成立しています。
宅建試験で問われる宅建業法の論点も、そんなに多くありません。おおよそ300~400といったところでしょうか。
そのため、実は、宅建業法の重要論点はほとんど、これまでの過去問で出題され尽くされています。
だからこそ、宅建業法の学習においては、過去問対策が大切になってくるのです。
いかに、10年分の過去問の論点を徹底的に対策するか
ということが、宅建試験の宅建業法の攻略のコツです。
特に宅建業法においては、出来るだけ早く、過去問に触れるようにしてください。
というのも、宅建業法には、ひっかけのような選択肢も多いのです。
答えが分かっていても、ひっかけ問題に引っかかってしまい、不正解の選択肢を選んでしまっては、どうしようもありません。
宅建業法の問題は、どのような出題のされ方をするのか
その独特の表現に慣れる必要があるのです。
その他、宅建業法の勉強法の詳細については、以下の記事も参考にしてください。
権利関係(民法他)の独学勉強法
宅建試験の4分野のなかで、権利関係(民法等)が一番難しいと言われています。
権利関係は、宅建試験においては14問出題され、そのうち大半が民法の問題となっています。
このように、難易度の高い権利関係の中でも大多数を占める民法の攻略は、宅建試験の合否に大きく影響するポイント、といえるでしょう。
多くの方が苦手と思っている民法を攻略すれば、おのずと合格が近づくのは言うまでもありません。
難易度の高い民法については、独学時に気をつけるコツは色々とあります。
そのなかで、もっとも重要なのは「論点を絞る」ことです。
具体的に説明しましょう。
まず、民法は、1,000以上の条文がある膨大な法令ですが、すべてを把握する必要はありません。
1,000以上の条文のうち、宅建の本試験に出題される論点(条文内容)は、せいぜい100程度です。
つまり、
・「頻出の問題である」「出題可能性がある」論点(100程度)だけをしっかり仕上げる
・残りの論点は「意味ぐらいは分かる状態にしておく」
という考え方が、あなたが取るべき戦略です。
実際、この戦略で私は短時間の勉強で一発合格することができした。
ぜひ、あなたも頻出論点を徹底的に攻略してください。
具体的な民法の攻略方法については、下記の記事を参考にしてください。
法令上の制限
宅建試験の4科目の中で、初心者にとって、もっとも難解に思える(とっつきにくい)のが、「法令上の制限」の科目です。
法令上の制限は、一般の方になじみのない法律ばかりで構成されています。
専門用語が多く、細かい規定や数字が多くありますので、一見、難解なように感じられます。
しかし、法令上の制限の出題は、条文の内容が素直に出題されるため、慣れてくると得点源にできる科目でもあります。
つまり、きちんと取り組んだ人と、そうでない人の間で差が付きやすい法令上の制限は、合否の分け目となりやすい科目なのです。
なじみのない法律でも、毎日少しずつでも触れておけば、最初は分からなくても、何度も繰り返し読むことにより、慣れてきます。
その結果、ある日、急に問題集で高得点が取れるようになったりします。
もともと、法令上の制限の出題は、条文に素直な出題が多いだけに、慣れてくると高得点を狙えるようになるのです。
また、暗記中心ということもあり、試験直前に大きく伸びる方が多い科目でもあります。
ぜひ、あきらめずに取り組んでみてください。
その他、法令上の制限の独学勉強法の詳細については、下記の記事を参考にしてください。
税・その他
この4科目の中で、「権利関係(民法等)」「法令上の制限」「宅建業法」の主要3科目以外のものを集めた科目が「税・その他」です。
「その他」という言葉が入っているとおり、バリエーション豊かというか、雑多な分野が集められた科目です。
税・その他の科目では、
「取り組みやすい分野」と「取り組みにくい分野」の差
がはっきりしています。
これは様々な分野からの寄せ集め科目である以上、仕方がないと割り切るしかありません。
そのうえで、勉強する分野によって、最適なスタイルで学習することが、もっとも効率的な学習ができるコツとなります。
「今、取り組んでいる法律・分野の勉強法は、この方法がベストなのか?」
常に問題意識を持ち、柔軟に学習スタイルを変えることが、効率的な学習につながります。
税・その他で出題される各分野の詳細については、下記の記事を参考にしてください。
宅建は真面目に取り組めば必ず合格できる
ここまで宅建の難易度や勉強法について多角的に見てきましたが、どのような感想を持たれたでしょうか?
「やっぱり宅建試験は難しそうだ」
「宅建は意外とカンタンかも知れない」
など、人によって様々な感想をお持ちでしょう。
しかし、宅建試験は正しく取り組めば、必ず合格できる試験です。
必要な勉強時間は最大300時間ですから、1年かけるなら1日1時間、あるいは、平日が無理な方なら土日だけでもよいでしょう。
士業の資格には、1,000時間以上も勉強時間が必要な資格も多いですが、それらに比べ、宅建試験は断然取得しやすい試験です。
宅建が気になる人は、ぜひチャレンジしてほしいと思います。
宅建を取得すれば、様々なメリットがある
宅建の資格取得には、以下のようなメリットがあります。
- 不動産関連のスペシャリストなので、不動産管理会社や金融機関への転職がしやすくなる
- 一度合格すると一生使える国家資格で、資格更新の手続きは特に行わなくても良い
- マイホームを購入したり家を借りたりする際に、宅地建物取引士(宅建士)としての知識が役立つ
- 良い会社に就職したり自分で起業したりと、安定した収入を得られる
詳細については、下記記事にまとめてありますので、よかったら参考にしてください
宅建試験の試験概要・試験時間・日程
以下では、これから宅建試験にチャレンジする方向けに、宅建試験制度の概要や受験手続の流れ、受験スケジュールなどをまとめてあります。
宅建初心者だけでなく、宅建試験に詳しい方も、手続きやスケジュールの確認のために参考にしてください。
宅建試験の試験内容(出題範囲)
前述のとおり、試験の出題範囲は、大きくわけると「宅建業法」「権利関係(民法等)」「法令上の制限」「税その他」の4つとなります。
それぞれの科目の詳細・特徴や試験対策については以下の記事にまとめてありますので、参考にしてください。
宅建業に勤めている方なら、5問免除を必ず受けよう!
もしあなたが宅建業者の従事者の場合、一般の方よりも有利に試験を受験できる「5点免除」の制度を活用してください。
5点免除を受けるためには、あらかじめ決められた講習を修了しておく必要がありますが、非常に大きなメリットがあります。
受験前から「5点」もらえる「5点免除」を活用し、宅建の受験をを有利に進めて欲しいと思います。
宅建試験の合格後は資格の登録が必要
宅建試験に合格しても、すぐに宅建士(宅地建物取引士)として活動できるわけではありません。
まずは都道府県知事に対して宅建資格の登録を申請する必要があります。
資格の登録については、以下の記事を参考にしてください。
宅地建物取引士証(宅建士証)の交付を受けて、宅建士として働く
いよいよ最後の関門、宅地建物取引士証の交付です。
そもそも、宅地建物取引士とは宅地建物取引士証の交付を受けた者を指しています。
宅建試験に合格しても宅地建物取引士証の交付を受けていなければ、宅建士を名乗ることはできないわけです。
また、宅建試験は一度合格すれば一生有効、都道府県知事への資格登録も一生有効ですが、宅地建物取引士証には「5年」の有効期限があります。
交付から5年経つと、法定講習を受けて知識を最新として、宅建士証の更新手続きをするわけです。
宅建士証の交付の流れ・更新の手続きの詳細については、下記を参考にしてください。
宅建(宅地建物取引士)の試験・資格の難易度 <まとめ>
以上のように、宅建の試験の難易度や合格率、他の資格との比較、宅建資格の取得方法などについて詳しくまとめてみました。
難易度が激高の国家資格ではありませんが、勉強時間の目安は100時間~300時間とそれなりの期間がかかります。
初学者の場合は基礎知識を頭に入れるまでに時間がかかりますので、しっかりとスケジュールを組んで試験勉強に取り組んでみてください。
著者情報 | |
氏名 | 西俊明 |
保有資格 | 中小企業診断士 , 宅地建物取引士 |
所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |