宅建業法

宅建業法の手付金の上限や制限は?宅建試験の対策で押さえておきたいポイント

宅建業法の手付金

こんにちは、ジュンです。

今回は、宅建業法の科目で問われる「手付金(手付)」について説明します。

そもそも手付とは、売買契約の締結の際に、契約の証拠を残すなどの目的のため、契約当事者の一方から他方に支払われる金銭のことで、民法に記載されています。

では何故、宅建試験では「宅建業法」の科目において出題されるのでしょうか?

カンタンに言えば、不動産取引の知識や経験が豊富な宅建業者から、知識や経験の乏しい買主である一般消費者を守るため、宅建業法において「手付に関する特別なルール」が定められているからです。

そして、宅建試験においては、この宅建業法で定められている「手付に関する特別なルール」が非常に重要です。

以上の内容について、詳しく説明したいと思います。

手付とは何か

前述のとおり、

手付とは、売買契約の締結の際に、契約の証拠を残すなどの目的のため、契約当事者の一方から他方に支払われる金銭のこと

です。通常、買主から売主に、物件を押さえる意図で支払ますよね。

また、一般に、売買の手付は「解約手付である」と認定されます(最高裁の判例では「反対の証拠がない限り、解約手付と認定すべきである」とあります)。

解約手付とは

「解約手付」とは、契約締結の際、手付を支払った買主は、相手方(売主)が履行を着手する前までは、その手付を放棄し、契約の解除ができるものです。

解約手付による解除をした場合、売主に瑕疵がなくても、売主は損賠賠償を請求することができません。

また、解約手付においては、売主側からも契約解除できます。売主が契約解除できるのは、買主が履行に着手するまでであり、手付の倍額を支払うことで一方的に解除できるのです。

信用供与による契約誘引(手付貸与等)の禁止

ここからは、宅建業法で決められている、手付に関する特別なルールを見ていきます。

まずは、信用供与による契約誘引(手付貸与等)の禁止です。

不動産会社が分譲したり仲介したりするに当たり、手付金授受に関して下記の対応をすると宅建業法違反に該当します。

  • 手付金を貸す
  • 手付金を立て替える
  • 手付金を後払いにする
  • 手付金を分割払いにする

これらの行為で宅建業法の違反になるのは、不動産会社が買主を急かして契約させるのを防ぐのが目的です。

「手付金は後で支払えば良いので、とにかく契約から済ませちゃいましょう」と不動産会社が迫ることを防いでいるのです。

「自ら売主の場合の8種制限」について

さらに、(仲介ではなく)宅建業者が自ら売主となり、一般消費者が買主になる場合には、他にも売主に対する様々な制限が存在します。

この制限のことを「自ら売主の場合の8種制限」と呼びます。

8種制限は、「売主が宅建業者、買主が一般消費者」の時の制限です。「売主が業者以外」、「買主が宅建業者」の場合は適用されませんので、注意してください。

8種制限において、手付に関連するものには、「手付の額の制限等」「手付金等の保全措置」といったものがあります

それぞれの概要は次のとおり。

手付の額の制限等

そもそも、民法は「私人同士の関係における一般法」ですから、「契約内容の自由」が提唱されています。そのため、民法の原則では、手付の金額も、契約の当事者が自由に決めてよいことになっています。

しかし、8種制限においては、手付の額に対し、以下の制限をかけています。

  • 手付の額は代金の2割を超えてはならない(2割を超えた部分は無効)
  • 手付に対する特約で、買主に不利なものは無効となる

手付金等の保全措置

一定の金額を超える手付金等を受領する場合などに、事前に定められた保全措置を取らなければならない、といった制限です。

「手付金等」とは

ここで「手付金等の保全措置」にある「手付金等」について補足します。

まず、物件の引き渡し前に買主が支払う金銭は、次の3種類にわけられます。

  • 売買契約の際に買主から売主に支払われる「手付金」
  • 売買代金の一部として買主から売主に交付される「内金」
  • 契約成立から義務履行までに支払われる「中間金」

この3つを合わせて手付金等と呼びます。なお、これ以外の名称でも、契約締結後、引き渡し前までに支払われる金銭で、物件の代金に充当するものはすべて「手付金等」にあたります。

保全措置が不要な金額

売主が受領する手付金等の額が少額の場合は、保全措置は必要ありません。具体的には、以下のとおりです。

  • 未完成物件の場合:売買代金が1,000万円以下で、かつ手付金等が5%以下
  • 完成物件の場合:売買代金が1,000万円以下で、かつ手付金等が10%以下

逆に言えば、これを超える金額の場合、手付金等の保全措置が必要です。

登記をした場合も保全措置は不要

前述の金額要件に加え、保全措置が不要なケースとしては、以下も挙げられます。

  • 買主に所有権移転の登記がされた場合
  • 買主が所有権登記をした場合

つまり、①一定金額以下、あるいは②買主が登記されている場合、の2つのケースにおいて、手付金等の保全措置は不要となります。

具体的な保全措置の方法

「手付金等を、どのように保全するか」、つまり具体的な保全措置の方法についても、宅建業法で定められています。

保全措置の方法には、全部で3種類ありますが、「未完成物件」の場合と「完成物件」の場合で、選べる保全措置に違いがあります。

まず、3種類の保全措置とは、以下のとおりです。

  1. 銀行等による保証
  2. 保険事業者による保証保険
  3. 指定保管機関による保管

以上の3種類のうち、完成物件の場合は①~③すべて選べますが、未完成物件の場合は①または②から選ぶことになります(③は選べません)。

手付金の試験対策で押さえておきたいポイント

宅建士の試験では、宅建業法の科目が最重要と言っても過言ではありません。

問題数や配点の多い試験科目になりますので、宅建業法の出来は重要です。

そこで、ここでは宅建業法の手付金の試験対策でどのようなポイントを押さえておけば良いのかまとめてみました。

これから宅建の試験を受験する予定の受験生は、一度目を通しておきましょう。

手付金の基本事項について押さえておく

宅建試験の宅建業法の中でも、手付金に関する問題は1問程度です。

宅建業法の試験科目では全部で20問が出題されますので、「1問くらいなら捨てても良いだろう」と考えている方はいませんか?

しかし、手付金に特化した問題に加えて、他の問題の選択肢の中に登場することも多いため、なるべく失点を抑えたいものです。

まず最初に、宅建業法の手付金の基本事項をしっかりと頭に入れて覚えることから始めましょう。

手付金に関する基本事項は、次の内容について暗記すれば良いだけですので、そこまで難しい分野ではありません。

  • 手付による契約解除の期限:相手方が契約の履行に着手した後は手付による契約の解除はできない
  • 解約手付に関する特約制限:買主に不利な特約は無効になる
  • 手付金額の制限:売主が宅建業者で買主が個人の場合は、手付金が売買金額の20%を超えてはいけない
  • 手付貸与の禁止:取引の成立を急がせる目的で手付金を貸与することは禁止されている
  • 手付金等の保全措置:宅建業者が売主になる場合は、倒産で返却できなくなる事態を防ぐために一定金額を超える手付金は保全措置を取る必要がある

あくまでも手付金の中で特に重要な部分だけを抽出しましたので、これだけ覚えていれば宅建試験の対策は完璧というわけではないです。

数字が絡んでくる問題が多くて苦手意識を持つ受験生は多いものの、手付金の上限や保全措置を中心に頻出箇所を頭に入れて本番の宅建試験で得点できるようにしてください。

参考書やテキストで学んだ後に過去問を解く

宅建士の試験で宅建業法は得点源にすべき科目ですので、手付金に関する内容を中心に過去問をしっかりと解きましょう。

参考書やテキストを使って、基礎的な事項を頭に入れただけでは不十分です。

参考書で知識をインプットした後に、過去問を解いてアウトプットする対策で徐々に記憶に定着していきますよ。

また、過去問を使った宅建試験の対策は、過去の傾向を把握して頻出する問題を把握できるのも大きなメリットです。

過去問を繰り返し解いていれば、論点を少し変えた応用問題にも対応できるようになります。

宅建の過去問の選び方で迷っている方は、次の2つを使ってみましょう。

・2020年度版 スッキリとける宅建士 過去問コンプリート12
・2020年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の12年過去問題集

どちらも過去問が最低10年分は収録されていますので、宅建業法の手付金を中心に問題の解き方に慣れる努力をしてみてください。

まとめ

以上のように、宅建業法における手付金の上限、宅建試験の対策についておわかり頂けましたか?

宅建士の試験問題で宅建業法に関する出題は20問と非常に多く、手付金に関する問題は必ず1問は出ます。

宅建業法はできる限り満点を狙いたい科目ですので、参考書やテキストで基礎的な知識を頭に入れるだけではなく、過去問対策も忘れずにしっかりと行ってください。

その他、以下のワンポイントWebテキストも参考にしてみてください。