法令上の制限

宅建の都市計画法について!勉強法と攻略のコツ!(前編)

宅建の都市計画法

宅建の都市計画法の勉強法

宅建の試験科目は、「宅建業法」「民法」「法令上の制限」「税・その他」の4つに大きくわけられます。

試験の出題数は宅建業法が20問民法等が14問ですので、この2つさえ押さえておけば何とかなるとイメージしている方はいませんか?

しかし、このページで解説している法令上の制限の「都市計画法」も非常に重要です。

下記の項目で説明していますが、都市計画法とは、計画的に住み良い街づくりをするために作られた法律です。

また、「都市計画」とは、街づくりを進めるための具体的なプランのことです。

そのような都市計画に関して必要な事項を定め、都市の健全な発展や整備を図って公共の福祉の増進に寄与するのが、都市計画法の目的ですね。

まず最初に、宅建の都市計画法の勉強法や攻略のコツから見ていきましょう。

宅建の都市計画法の出題傾向

宅建試験の「法令上の制限」は全部で8問で、都市計画法からは2問が出題されます。

宅建の都市計画法の出題傾向を掴むために、令和元年の過去問を見てみましょう。

問16:都市計画法に関する次の記述のうちで正しいものはどれか?

  1. 準都市計画区域において、店舗の建築を目的とした4,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。(正しい)
  2. 市街化区域において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築を目的とした1,500㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。(誤り)
  3. 市街化調整区域において、野球場の建設を目的とした8,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。(誤り)
  4. 市街化調整区域において、医療法に規定する病院の建築を目的とした1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。(誤り)

その他の年度の過去問を見てみても、都市計画法の内容や規定、開発許可に関する問題が出題されています。

他の科目と比べて宅建の都市計画法は暗記ものが多く、コツコツと知識を頭に入れて理解するのがポイントです。

宅建の都市計画法の攻略で押さえておきたいコツ

宅建試験の都市計画法では覚えることがたくさんありますので、攻略するには次のコツを押さえておきましょう。

  • 数字を問われる問題が頻出するのでしっかりと暗記する
  • 全てを覚えるのではなく、過去問を読み返して出題傾向を捉える
  • 2問のうち1問は開発許可制度から出題される(確実に正解できるように準備する)

他の科目にも該当しますが、宅建の都市計画法は過去問を使った準備が欠かせません。

過去問で出題傾向を捉えて覚えておくと、都市計画法の勉強が少し楽になりますよ。

都市計画法とは?

宅建の試験で出題される都市計画法とは、計画的に住みよい街づくりをするために定められた法律です。

例えば、小学校の近くにパチンコ屋や風俗店が立ち並んでいたら教育上良くないですよね。

これはあくまでも一例ですが、様々な問題を回避して住みよい街づくりのために都市計画が行われていると考えれば理解しやすいのではないでしょうか。

都市計画法の目的

都市計画法の目的は、第一条と第二条で次のように定められています。

第一条:この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。(都市計画の基本理念)

第二条:都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。(国、地方公共団体及び住民の責務)

わかりやすく説明すると、都市計画法は日本全体を住みやすい街にするのが目的です。

利便性だけを考えて全ての土地を商業発展都市にするわけではなく、自然や文化、工業や住宅との調和を図りながら街づくりの計画をしていきます。

都市計画区域とは?

以下では、都市計画法の大まかな流れについてまとめてみました。

  1. 都市計画区域の指定(どこに何をつくるのか区域を指定する)
  2. 都市計画の決定(区域ごとに具体的な計画を立てる)
  3. 都市計画の制限(個別の行為に対してやって良いこととやってはいけないことを決める)

都市計画区域とは、実際の都市の広がりに合わせて、一体の都市として総合的に整備・開発・保全される必要がある区域のことで、カンタンに言えば「どこに街をつくるのか」を定めたものです。

そこから更に細かな計画を進めていくのが都市計画法の流れですね。

この都市計画区域は都市計画法に基づき、原則として都道府県が開発を促進すべきエリアと抑制するエリアをわけて指定していきます。ただし、2つ以上の都道府県に跨る場合は国土交通大臣が指定します。

準都市計画区域とは?

高速道路やインターチェンジの付近に、「パチンコ店やラブホテルが多いな~」と感じたことのある方はいませんか?

これは高速道路が辺鄙な場所に位置していることが多く、都市計画の制限を受けないのが理由です。

だからと言って何も制限しないと住みやすい街づくりとはかけ離れてしまうため、開発や建築を規制する目的で局地的に準都市計画区域が定められています。

準都市計画区域の制定により、無秩序な街づくりが防がれているわけです。

準都市計画区域に指定するには、次の3つの要件を満たす必要があります。

  • 都市計画区域外にある土地であること
  • 相当数の住居等の建築・敷地の造成が行われる見込みがある
  • そのまま放置すると将来における都市としての整備開発保全に支障が生じる恐れがある

参考:https://www.athome.co.jp/contents/words/term_207/

準都市計画区域の指定は、都道府県が行います。

都市計画の詳細

都市計画の決定手順は、下記のように市町村が定める都市計画と都道府県が定める都市計画で違いがあります。

  • 市町村が定める都市計画:「市町村が原案を作成する」⇒「原案を公告する」⇒「市町村都市計画審議会の議を経る」⇒「都道府県知事に協議して同意を得る」⇒「都市計画が決定する」
  • 都道府県が定める都市計画:「都道府県が原案を作成する」⇒「関係市町村の意見を聞く」⇒「原案を公告する」⇒「都道府県都市計画審議会の議を経る」

マスタープランとは?

都市計画マスタープランは、1992年の都市計画法の改正によって規定されました。

マスタープランは市町村の都市計画に関する基本的な方針で、次の2種類に大きくわけられます。

  • 都道府県が都市計画の目標や区域区分の方針を定める「都市計画区域マスタープラン」
  • 市町村議会の議決を経て基本構想に即して定められる「市町村マスタープラン」

都道府県や市町村は単純に都市計画マスタープランを定めるだけではなく、地域の住民にわかりやすく周知するのが大きな課題です。

主な都市計画

日本の国土は、都市計画法によって「都市計画区域」「準都市計画区域」「両区域外」の3つに分類できます。

都市計画区域は、次のように更に細かく設定(計画)されるのが特徴です。これら1つ1つの計画を「都市計画」といいます。

  • 区域区分:都市計画区域を3つの区域に分ける
  • 地域地区:準都市計画区域を含めて更に細分化する
  • 用途地域:用途の混在を防ぐのが目的

他にも、都市計画には都市施設市街地開発事業市街地開発事業等予定区域地区計画等があります。

この項では、主な都市計画の詳細についてまとめてみました。

区域区分とは?

都市計画法における区域区分とは、都市計画区域を次の3つにわけて計画することです。

  • 市街化区域(既に市街地を形成、および、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべきエリア)
  • 市街化調整区域(農地や森林を守る目的で市街化が進まないよう抑えるエリア)
  • 非線引区域(区域区分が定められていない都市計画区域)

市街化区域と市街化調整区域は都市計画区域で線引きを行ったエリア、非線引区域は線引きが行われない空白のエリアを指しますね。

地域地区とは?

都市計画における地域地区は、土地利用に関して一定の規制を適用させる区域として指定されます。

主な地域地区には、次のようなものがあります。

  • 用途地域
  • 特別用途地区
  • 特定用途制限地域
  • 特例容積率適用地区
  • 高層住居誘導地区
  • 高度地区
  • 高度利用地区
  • 特定街区
  • 景観地区
  • 風致地区

指定する地域地区の種類により、そのエリア内における建築物の用途や容積率に一定の制限が課せられます。

13の用途地域の詳細

用途地域は上記で解説した地域地区の一つで、建築できる建物の種類や用途の制限が定められています。

用途地域は全部で13種類にわけられますので、それぞれの詳細を見ていきましょう。

<住居系>

  • 第一種低層住居専用地域(低層住宅のための地域。小規模な店舗を兼ねた住宅や小中学校も建設可)
  • 第二種低層住居専用地域(主として低層住宅のための地域。上記に加え、150㎡までの許可された店舗も建設可)
  • 第一種中高層住居専用地域(中高層住宅のための地域であり、病院や大学、500㎡までの許可を受けた店舗も建設可)
  • 第二種中高層住居専用地域(上記に加え、1500㎡までの一定の店舗も建設可)
  • 第一種住居地域(住居環境を保護するための地域、3000㎡までの店舗や事務所、ホテルを建設可)
  • 第二種住居地域(主として住居環境を保護するための地域、10、000㎡までの店舗やカラコケボックス、事務所やホテルなどを建設可)
  • 田園住居地域(農地と調和した低層住宅の環境を守る地域)
  • 準住居地域(道路の沿道として自動車関連施設と、それと調和した住居環境を保護する地域)

<商業系>

  • 近隣商業地域(近隣の住民が日用品の買い物をする地域。住居や店舗の他、小規模な工場も建設可)
  • 商業地域(映画館や飲食店、銀行やデパートが集まる地域。住居も建設可)

<工業系>

  • 準工業地域(軽工業の工場やサービス施設が立地する地域)
  • 工業地域(どんな工場でも建てられる地域。学校や病院、ホテルは建設不可)
  • 工業専用地域(工場のための地域。上記に加え、住居や店舗も建設不可)

用途地域の種類ごとに、建築できる建物や容積率には違いがありますよ。

なお、市街化区域では、必ず用途地域を設定する必要があります。一方、市街化調整区域では原則として用途地域を定めません。非線引区域や準都市計画区域内では、必要があれば用途地域を定めることができます。

その他の地域地区の詳細

上記の用途地区に加えて、その他の主な地域地区についても説明します。

  • 特別用途地区:用途地域に重ねて、特定の目的で制限を課したり緩めたりするエリア
  • 特定用途制限地域:用途地域が定められていない地域(市街化調整区域内をのぞく)において、特定の目的で制限を課すエリア
  • 特例容積率適用地区:未利用容積率を敷地間で移動して上乗せできるエリア
  • 高層住居誘導地区:容積率の緩和により、高層住宅の建設を促すエリア
  • 高度地区:7mや12mなど建物の高低を制限するエリア
  • 高度利用地区:容積率や建ぺい率の制限を定め、土地の高度利用を推進する地区(例:ペンシルビルの乱立防止など)
  • 特定街区:建築物の容積率や高さの最高限度などが緩和され、高層ビル街のような市街化を積極的に進めるオフィス街や商業地
  • 景観地区:市街地の良好な景観を形成するために定める地区
  • 風致地区:街の風致を維持するために定める地区

基本的な決定権者は都道府県ですが、市町村が決定権者になるケースも少なくありません。

都市施設とは?

都市計画における都市施設は、生活に必要な都市の骨組みを形作る施設を指します。

都市施設として都市計画に定められるのは次の11種類です。

  • 交通施設(道路、鉄道、駐車場)
  • 公共空地(公園、緑地)
  • 供給・処理施設(上水道、下水道)
  • 水路(河川、運河)
  • 教育文化施設(学校、図書館)
  • 医療・社会福祉施設(病院)
  • 市場と畜場
  • 一団地の住宅施設
  • 一団地の官公庁施設
  • 流通業務団地
  • 電気通信施設や防風・防火・防水施設

参考:https://www.ktr.mlit.go.jp/city_park/chiiki/city_park_chiiki00000012.html

都市施設の区域では実際に整備が進行しますので、その妨げになる建築は制限されます。

市街地開発事業とは?

市街地開発事業とは、市街地を開発または整備する事業を指します。

市街地開発事業として定められているのは以下のようなものがあります。

  • 土地区画整理事業
  • 新都市基盤整備事業

都市計画法の第13条では、区域区分が定められていない都市計画区域で市街地開発事業が行えると決められています。

市街地開発事業等予定区域とは?

市街地開発事業等予定区域は、3年間以内に上記で解説した市街地開発事業に関する都市計画が決定されるエリアです。

市街地開発事業を実施するのに先立ち、「まずは用地を確保する」という目的のために計画されます。

都市計画法の第12条では、市街地開発事業等予定区域として次の6種類の予定区域が法定されています。

・新住宅市街地開発事業の予定区域
・工業団地造成事業の予定区域
・新都市基盤整備事業の予定区域
・区域の面積が20ha以上の一団地の住宅施設の予定区域
・一団地の官公庁施設の予定区域
・流通業務団地の予定区域

参考:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=343AC0000000100#195

本来の都市計画が決まるまでの暫定的な区域とイメージすればわかりやすいのではないでしょうか。

地区計画等とは?

地区計画等とは、既存の都市計画を前提にして一定のまとまりを持つ地区を対象に、きめ細かな規制を行う制度を指しています。

特定の地区の特性を反映した市街地を形成する目的で、地区計画等が定められました。

地域住民の意見を反映しながら良好な街づくりを実現するための計画ですね。

まとめ

以上のように、宅建の試験に出題される都市計画法の勉強やコツ、都市計画に関する詳細についておわかり頂けましたか?

都市計画の内容は身近な街づくりの計画や広域的な根幹的な計画など様々です。

毎年の宅建試験で出題される科目ですので、都市計画法の知識をしっかりとインプットしておきましょう。

その他、以下のワンポイントWebテキストも参考にしてみてください。