「宅建の資格を持っていても、役に立たない」
「宅建なんて、意味ないよ」
不動産業界に身を置いていたり、不動産関係の人と話をしたりすると上記のような話を聞くことがあります。
宅建は年間20万人以上の方が受験する屈指の大人気国家資格です。そんなメジャーな宅建の資格が、本当に「役に立たない」「意味ない」「無駄な資格」なんてことがあるのでしょうか・・・?
こんな話を聞くと、これから宅建の資格試験の合格を目指す受験生の方は、悩んだり疑問に感じたりしますよね。
しかし、宅建の資格を持つ管理人の意見は次のとおり。
- 宅建が「役に立たない」「意味ない」と言う人の気持ちは、ある程度理解できる
- しかし、実際には、宅建が役に立たない、意味がない、なんてことはない!
どうして管理人が上記のように考えるのか、その内容を分かりやすく説明していきますので、宅建受験生の方は安心して学習に励んで欲しいと思います。
宅建が役に立たないと言われる理由
まずは、なぜ宅建が役に立たないと言われるのか、その理由を解説します。
宅建の資格を持つ人は多い
宅建の資格は国家資格の中でも1、2位を争うぐらい人気の資格で、毎年20万人以上が受験し、3万人以上が合格しています。
つまり、世の中に宅建の資格を持つ方は非常に多いため、
「宅建は希少性がない」
「宅建は誰でも持っている資格だ」
と考える人が、「宅建は役に立たない」と言っているわけです。
また、宅建試験には受験資格がありませんが、そのため「誰でも受けることができる」という点が指摘されることもあります。
宅建は、不動産業以外では知識が使えない
宅建の試験勉強で学ぶ科目には、以下のようなものがあります。
- 宅建業法
- 権利関係(民法等)
- 法令上の制限(主な法令は都市計画法や建築基準法など)
- 税その他
このうち、宅建業法や都市計画法、建築基準法などは、不動産会社に就職するなど宅建の資格を活かせる現場でなければ、知識自体を利用することはまずありません。
民法にしても、一般的な法律ではありますが、なかなか普段の生活で利用するシーンは無く、実用性は低いでしょう。
つまり、宅建は不動産の業界でしか価値のない国家資格、と考える人が「宅建は役に立たない」と言っているのです。
宅建は、難関国家資格に比べれば取得しやすい
宅建は決して難易度の低い国家試験ではありません。未経験の社会人が一から勉強して、宅建に合格するまでには300時間前後かかります。
しかし一方で、難関国家資格と呼ばれる資格と比べると、取得しやすいのも事実。
たとえば、弁護士になるには6000時間前後必要ですし、税理士の場合は3000時間前後、難関国家資格のなかでは比較的取得しやすいと言われる行政書士でも600~800時間。
つまり、宅建は行政書士に合格するための半分以下の勉強時間しか必要ないのです。
そうしたことから、「誰にでも取れる資格だから、持っていても役に立たない」と考える人がいるわけです。
有資格者が必ずしも営業成績がよい訳ではない
宅建業を営む不動産会社では、宅建資格保有者よりも、営業成績の良い者のほうが評価されます。
確かに、宅建の資格を持っている者は、宅建業や不動産に関する知識は豊富でしょうし、重要事項説明などの独占業務も実施できます。
しかし、必ずしも資格所有者は営業成績がよい、という訳ではありません。むしろ事務仕事は得意だが、営業は苦手という人が多いようにも感じます。
不動産会社としても、有資格者より、無資格でも営業成績を上げてくれる営業マンのほうが大切に感じるのは当然です。不動産会社も企業である限り、売上や利益を最大化するのが一番の目的だからです。
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以上のような背景から「宅建の資格を持っていても、肝心の営業成績が悪いのであれば、役に立たない」という考え方が、不動産会社のなかでは主流になっているのです。
役に立つと言える理由
前項では、「宅建は役に立たない」、と言われがちな理由について紹介してきました。
しかし、管理人は「宅建の資格が役に立つことは間違いない」と考えています。以下、その根拠について解説していきます。
独占業務の存在
宅建士には、以下のような独占業務を行うことができます。
- 【1】重要事項の説明
- 【2】35条書面(重要事項説明書)への記名押印
- 【3】37条書面(契約の書面)への記名押印
また、宅建業を営む会社では、従業員の5人に1人は宅建資格の所有者(登録してある専任の宅建士)であることを義務付けられています。※これを「設置義務」といいます。
有資格者の従業員が退職するなどして、5人に1人の割合を充たせなくなった場合、2週間以内に補充しないと営業停止になってしまいます。
このように、宅建業者や不動産会社にとって、宅建士の有資格者は非常に重要な存在なのです。
宅建士の資格を持っている人は世の中に数多くいる、というのは真実ですが、だからと言って、有資格者が足りなくなった時にすぐ補充できる保証はありません。
不動産業がある限り、宅建士の資格は役に立つ(武器になる)のは間違いありません。
資格手当
不動産業・宅建業の会社では、宅建士資格の所有者に対し、資格手当を出していることが多いです。
資格手当の相場は10,000円~30,000円程度。
無資格者より、年間で12万円~36万円も収入(年収)が違ってきます。
あきらかに、宅建士の資格取得は役立つ、と言えるでしょう。
プライベートでの不動産売買に知識が役立つ
宅建士の資格は不動産のプロの証。
時分自身や家族・親戚などが不動産取引をする際、専門知識が役立つのは間違いありません。
副業
最近では、副業を解禁している会社も多くあります。
宅建士の資格があれば、週末だけ副業で不動産屋で働くなどの副業が可能です。特に土日は不動産会社への来客が多くなるため、重要事項の説明ができる有資格者のニーズは大きいです。
※重要事項の説明等の独占業務の実務は、専任の宅建士や社員でなくとも、パートやアルバイトでも宅建士資格さえあれば実施できます。
もちろん、無資格者よりも有利な報酬が期待できるのは間違いありません。
宅建講座の講師の副業もある
宅建資格を活かした副業は、何も不動産関係の事務所の実務だけではありません。
受験人数が多い宅建士試験だからこそ、宅建講座の講師や家庭教師の求人も多くあります。
専門の講師になって、テキストや問題を教えることで受験生から感謝されるため、やりがいは大きいです。
さらに活躍することで、条件次第ではありますが、給料の金額のアップの可能性も見込めるでしょう。
試験科目に関する詳細な知識は必須ですが、実務に従事するより、教えることが好きな方にはおすすめの副業です。
就職・転職
前述のとおり、宅建士には「独占業務」「設置義務」があるため、無資格者より就職・転職で有利です。
それだけではありません。宅建士の資格を保有していることは「地道に努力できる」ということの証明でもあり、その点も大きく評価されます。
宅建士試験の合格のためには300~400時間が必要ですが、これは、1日2時間勉強する場合、半年前後も継続しなければならない数値です。
社会人として働きながら、半年もの間、毎日2時間も勉強することがどれだけ大変か、イメージできると思います。
このこと自体は採用する企業側でも良く理解しているため、十分にアピールできる材料となるわけです。
独立
不動産会社等で経験を積んだ後、独立する際にも宅建士の資格は役立ちます。散々見てきたとおり、宅建業を営むには専任の宅建士の設置義務があります。
そこで、あなた自身が宅建士資格を保有していれば、不要な人材を雇用する必要はないでしょう。
ただでさえお金のかかる独立開業の初期に、コストを削減できるのは大きなメリットです。
他の資格とのダブルライセンスでキャリアアップが狙える
宅建士資格は、ダブルライセンスの取得にも向いた資格です。
たとえば、FP技能士の資格には「不動産(住宅ローン等)」「TAXプラニング(税)」などの出題分野がありますが、これは宅建士試験と試験範囲が被っています。
また、民法を学ぶ宅建士試験は、法律系の入門資格的な位置づけです。同じく民法が出題される行政書士、司法書士、弁護士(司法試験)などへステップアップすることも目指せるでしょう。
不動産関連のキャリアを強化するなら、マンション管理士(マン管)、管理業務主任者(管業)、賃貸不動産経営管理士なども共通する出題分野があります。
いずれにしても、ダブルライセンスを取得することでステップアップしたり、自分キャリアや業務の幅を広げたりできますので、結果として自分自身の価値を高めることに繋がります。
宅建士の資格が役に立つことを証明する、3つの体験記(事例)
ここでは、実際に宅建士の資格を取って人生を変えた、3名の方の体験記をご紹介します。
ニートが宅建を取って3年ぶりに無職から脱出!
元ニートのテルオさん(仮名)は新卒の時に就活に失敗し、その後3年間ニートとして暮らしていたそうです。
その後、一念発起して宅建の資格を取得、最初は就職先がなかなか決まらなかったものの、転職エージェントにの支援もあり、無事希望する不動産会社に正社員で入れたそうです。
テルオさんの体験記の詳細は、以下からチェックしてください。
40代が宅建を取って未経験で転職できた!
以下の記事では、40代の会社員である岡本さん(仮名)が宅建の資格を取り、未経験から転職できた体験記を紹介しています。
もともと不動産業界で働いている従業者を含むものの、不動産適正取引推進機構が行った統計調査によると、宅建士の資格者数の27.5%が40代とのこと。
平成28年度の宅建士の就業者数はなんと、平均年齢は49.6歳(男性50.2歳、女性47.6歳)だそうです。
こうした現実を知った岡本さんは、一念発起して未経験から宅建士試験に挑戦、見事転職に成功しました。
高卒から宅建士となり、エリートに営業成績で勝った体験記!
高校卒業後フリーターになったものの、一念発起して宅建士試験に合格したサトシさん(仮名)。
大手の不動産会社に入社出来ましたが、その会社には大卒エリートが多く、当初はコンプレックスの塊だったそうです。
「自分には跡が無い」と感じたサトシさんは、賃貸の仲介や管理の物件、新築の販売から果ては保険や金融の商品まで、努力に努力を重ねて売りまくったそうです。
バリバリ正社員として働き、営業成績を伸ばした結果、同年代の中でも年収は高く、実質的に大卒のエリートに勝つところまで行ったそうです。
将来のために、宅建士の資格を最大限に活かそう!
ここまで見て来て、宅建士資格は非常に役立つ、魅力的な資格だということが理解できたのではないでしょうか?
一部、不動産関連の方を中心に「役に立たない!」という意見も見られますが、それは
「不動産営業マンは資格を持っていようが無かろうが、営業成績と関係ない」
と言う点を特にフォーカスして揶揄したものがほとんどと推察されます。
知識は無駄、資格は価値あり
確かに、宅建士試験の知識は不動産業界でしか使えないという側面はありますが、資格自体を所有することもメリットは大きいことはおわかりでしょう。
「たかが資格、されど資格」
という言葉もあります。資格の取得で人生が大きく変わるといっても過言ではありませんので、受験生の方は前向きに取り組んで欲しいと思います。