宅建の正式名称は?
「宅建は不動産業界で役立つ資格!」と何となくイメージしている方は多いのではないでしょうか。
宅建士は土地や建物など不動産取引のプロフェッショナルですので、不動産業界への就職や転職を目指している方から人気があります。
宅建は「たっけん」と呼ばれていますが、正式名称は宅地建物取引士(たくちたてものとりひきし)です。
「宅地建物取引士」は少々呼びづらいため、多くの方から宅建(たっけん)という名称が浸透していますね。
宅建の正式名称が変更された理由!
宅建の正式名称は、平成26年まで「宅地建物取引主任者(たくちたてものとりひきしゅにんしゃ)」でした。
平成26年に宅地建物取引業法の改正で宅地建物取引士(たくちたてものとりひきし)に名称変更し、弁護士や税理士と同じ士業化の仲間入りを果たしています。
宅建の名称が変更されたのは、「主任者」から「士」に変わって士業に格上げされたのが大きな理由です。
資格保有者だけが携わることができる独占業務や試験内容に違いはないものの、改正された宅地建物取引業法で下記の項目が追加されています。
- 宅地建物取引主任者から宅地建物取引士に(2条4号関係)
- 宅地建物取引士の業務処理の原則(15条関係)
- 宅地建物取引士の信用失墜行為の禁止(15条の2関係)
- 宅地建物取引士の知識及び能力の維持向上(15条の3関係)
- 宅地建物取引業者による従業員の教育(31条の2関係)
- 免許及び取引士登録に係る欠格事由及び取消・消除事由の追加(5条1項及び66条1項関係、18条1項及び68条の2第1項関係)
宅地建物の安全な取引のために、果たすべき責任が定義されたり禁止行為の義務化を強化したりと、宅建士にはより高い倫理観や技量が求められるようになりました。
つまり、「宅地建物取引主任者」⇒「宅地建物取引士」と単純に名称が変更されただけではなく、宅建士に求められる資質の面でも変わっているのです。
宅建は一番人気の国家資格なの?
資格の学校TACから、「2020年 人気資格ランキング」が発表されました。
「どの資格が今は人気なの?」と関心のある方は参考にしてみましょう。
人気資格ランキング | |
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1位:簿記検定 | あらゆる業界のビジネスパーソンに必要なスキルを習得できる |
2位:宅建士(宅地建物取引士) | 土地や建物など不動産取引に関するプロフェッショナル |
3位:中小企業診断士 | 経営戦略やマーケティング、財務などの知識を持つ経営コンサルタント |
4位:社会保険労務士 | 社会保険や労働保険、医療保険や年金制度に関するプロフェッショナル |
5位:税理士 | 税務・会計をベースにしたコンサルティングのプロフェッショナル |
6位:FP(ファイナンシャルプランナー) | 将来のライフプランニングに即した資金計画やアドバイスを行う人 |
7位:公認会計士 | 三大国家資格の一角で企業の監査と会計を専門分野とする職種 |
8位:情報処理・パソコン | 日常的に活用するレベルのIT知識を手に入れられる |
9位:行政書士 | 官公署に提出する書類の作成や提出代理のプロフェッショナル |
10位:司法書士 | 人々の財産と権利を守ってトラブルの法的解決を行う職種 |
参考:https://www.tac-school.co.jp/pittari/ranking.html
「2020年 人気資格ランキング」で、宅建は2位にランクインしていました。
しかし、簿記検定は公的資格ですので、国家資格で見てみると宅建は一番人気です。
宅建試験の受験者は、毎年20万人を軽く超えています。
なぜ宅建の資格がここまで人気なのか、いくつかの理由を見ていきましょう。
- 他の試験と比較してみると学習内容が面白くて、モチベーションを維持しながら勉強を進めやすい
- 不動産会社だけではなく、金融業や建築関係への就職や転職で大いに役立つ
- 試験方法は全問マークシート方式で対策が立てやすい
- マイホームの購入や住宅ローン、将来設計に役立つ知識を得られる
宅建の資格を取得するメリットはたくさんあります。
多くの方は就職活動や転職活動のバックアップとして宅建を目指しますが、将来的に独立開業する際にも効力を発揮する資格ですよ。
※宅建の資格を活かした転職や、独立開業については下記の記事を参考にしてください。
宅建の業務内容は?独占業務について徹底解説!
宅建士は宅地建物取引のスペシャリストとして、不動産取引を中心にあらゆる業務をこなします。
宅建の主な業務内容は次の3つの独占業務です。
- 売買契約や賃貸契約の際に、重要事項説明書に基づいて消費者に対して説明を行う
- 重要事項説明書には登記された権利の種類や登記されている名義人など細かい情報が記載されている
- 重要事項を説明する前に、宅地建物取引士証の提示が必要
- 重要事項説明書(35条書面)の内容と一致しているかどうかの証明のために、記名や押印を行う
- 記名や押印をしなかった場合は宅地建物取引業法違反になる
- 契約書に目を通してないように間違いがないか確認し、記名や押印を行う
- 37条書面は売買契約や賃貸契約、交換契約に用いられて契約の当事者に交付される
独占業務は宅建士だけではなく、弁護士や税理士など他の士業も持っています。
その資格を保有している者しか行えない業務だとイメージするとわかりやすいですね。
独占業務で日々の仕事に活かせるのも、あらゆる国家資格の中で宅建が一番人気の理由!
また、宅建の業務は「重要事項の説明」「重要事項説明書への記名・押印」「重要事項説明書への記名・押印」の独占業務だけではありません。
所属している会社によって違いがありますが、宅建士は下記の業務も並行して行います。
- 自分が持っている土地や建物を売りたい人の手助けをする
- 土地や建物を購入したい人と借りたい人に合う不動産を探して紹介する
- 土地や建物を貸したい人と借りたい人を仲介し、賃貸契約をサポートする
- デベロッパーの依頼を受けて、住宅の広告活動や販売活動を行う
- 不動産の売買や資産運用に関するコンサルティング業務を行う
これらの仕事は、独占業務とは違って必ずしも宅建の資格が必要ではありません。
しかし、宅建の資格を持っていた方が顧客やクライアントから信頼感を得られますので、スムーズに物事を運べます。
宅建資格の履歴書への書き方!
宅建は就職や転職で役立つ資格ですので、試験に合格した方は履歴書に書くべきです。
ただし、宅建試験に合格しても正確には宅地建物取引士ではありません。
試験に合格した後の手続きで記載内容が変わりますので、宅建資格の履歴書への正しい書き方を見ていきましょう。
- 宅建の試験に合格した人⇒「宅地建物取引士試験合格」
- 宅建の実務講習を修了した人⇒「宅地建物取引士試験合格(実務講習受講)」
- 宅建の登録申請が完了した人⇒「宅地建物取引士登録(登録申請中)」
- 宅建士への登録が完了した人⇒「宅地建物取引士登録(登録済)」
- 宅地建物取引士証の交付を申請している人⇒「宅地建物取引士登録(取引士証交付申請中)」
- 宅地建物取引士証の交付が完了している人⇒「宅地建物取引士登録(取引士証交付済)」
「宅建の試験に合格すればOK」とイメージしている人は多いのですが、登録が完了していないと宅建士と名乗って独占業務を行うことができません。
つまり、宅建の試験に合格した人と宅地建物取引士証の交付が完了した人とでは、履歴書への書き方が異なるわけですね。
また、宅建の名称が変更される前の平成26年以前に宅地建物取引主任者を取得した人は、「宅地建物取引主任者(現:宅地建物取引士)登録(登録済)」と履歴書に記載しましょう。
宅地建物取引主任者と宅地建物取引士が同じ資格だと証明できるように記載するのがポイントです。
宅建の資格を持っているとプラスになることはあってもマイナスに見られることは絶対にありませんので、履歴書には正しい表記をしてください。
履歴書の免許・資格欄の書き方のポイント!
宅建の資格に限らず、履歴書の免許や資格欄は自分のアピールポイントになります。
他者と差別化を図ることができますので、転職活動や就職活動を有利に進められるのは間違いありません。
そこで、以下では履歴書の免許や資格欄の書き方で押さえておきたい点をいくつか挙げていきます。
- 「宅建登録」と略称ではなく、「宅地建物取引士登録」と正式名称で記載する
- 基本的には資格を取得した日順で記載する(仕事に関係のある順番でもOK)
- 取得年月日の表記は学歴や職歴部分と統一させる
- あまりにも資格が多い時は、仕事と関係する免許や資格を優先する
- 名称が変わった時は取得前と現在の名称の両方をわかりやすく書く
履歴書への記載の仕方は、「○○○でないといけない」といった決まりは特にありません。
上記で解説した例に縛られる必要はありませんが、採用担当者への伝わりやすさを一番に考えるべきです。
伝わりやすさを意識して履歴書の免許や資格欄を記載していれば、自分のスキルや技術をしっかりとアピールできます。
「本当に今の履歴書を提出して大丈夫なのだろうか…」と不安を抱えている方は、誰かにチェックや添削を依頼してみましょう。
まとめ
宅建の正式名称や名称変更の理由、業務内容や履歴書の書き方についておわかり頂けましたか?
宅建は平成26年に宅地建物取引主任者から宅地建物取引士に変更されましたが、国家資格の中で一番人気なのは今も昔も一緒です。
資格を持っているだけで重宝されるわけではないものの、不動産業界への就職活動や転職活動に役立てられますよ。
仕事だけではなく日常生活でも宅建の知識は役立てられますので、予備校や通信講座を利用して資格取得の勉強を始めてみてください。