こんにちは、トシゾーです。
今回は、宅建の名義貸しについて説明します。
「稼げる資格」「転職に役立つ資格」として宅建士は有名で、不動産業界で働くのであれば是非とも取得したい資格です。
そんな宅建の資格を取り、副業やパートを探していると、びっくりするような好条件で募集されている求人に出くわすことが時々ありますが、
そのような求人は、まずは「名義貸し」を疑って見たほうが良いかも知れません。
詳しくは後述しますが、宅建の名義貸しでは「損害賠償を請求される」などの多大なリスクがありますので、絶対に手をだしてはいけません!
違反は絶対にバレると心得ましょう。
ここでは、宅建の名義貸しについて詳しく見ていきます。
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宅建の名義貸しは全部で2種類!
宅地建物取引士で稼ぐに当たり、不動産会社に勤務するだけではなく名義貸しでお金をもらえるという話を聞いたことはありませんか?
混同しがちなのですが、実は、いわゆる「宅建の名義貸し」と言われるものには、大きく2つあります。
それは「宅建免許の名義貸し」と「宅地建物取引士の名義貸し」です。
私たち個人に直接関係あるのは、後者の「宅地建物取引士の名義貸し」ですね。
単純に宅建士としての名前を貸し出すだけではなく、条件を満たさずに専任の取引士として登録する行為を行う業者は少なくありません。
宅地建物取引士の名前や登録番号を、虚偽に貸し出す名義貸し行為は違法です。
「ぜんぜん出勤しないでも報酬を得ることができるなんてすばらしい!」と思っている方もいるかも知れませんが、宅建の名義貸しは法律で罰せられますよ。
まずは、前述の2種類の名義貸しの意味合いについて、それぞれを詳しく見ていきましょう。
宅建免許の名義貸し(業者間による名義貸し)
宅地業の免許がなければ、不動産取引などの宅建業を営むことができません。
宅建業法でも勉強するように、宅建免許には様々な欠格要件がありますよね。
有効期限切れはもちろん、何かしらの不祥事で免許が取り消されたりすると、宅建業を継続できないのです。
そこで、不動産業者の中には、「宅建免許の名義を貸して欲しい」と依頼することがあります。
これは業者間による免許の名義貸しで、業者同士の問題であり、宅建士は無関係です。
下記にもあるとおり、宅建業の免許を誰かに貸し出して営ませることは禁止されています。
宅建免許の名義貸し(業者間の名義貸し)の禁止の根拠と罰則
宅建免許自体を貸す名義貸しは、宅建業法の第13条で次のように禁止されています。
- 宅地建物取引業者は、自己の名義をもって他人に宅地建物取引業営ませてはならない。
- 宅地建物取引業者は、自己の名義をもって、他人に宅地建物取引業を営む旨の表示をさせ、又は宅地建物取引業を営む目的をもってする広告をさせてはならない。
細かい規定や使用された状況によって変わりますので一概には説明できませんが、宅建免許の名義貸しがバレると3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課せられます。
悪質な名義貸しの場合は、「または」ではなく両方の罰則が課せられることも少なくありません。
宅建士の名義貸し
宅建士本人による名義貸しは、次の2つのパターンにわけられます。
- 宅建士がその会社で働くことなく名義だけを貸す
- 専任に登録するには常勤が条件だが、その資格がない宅建士を専任として登録する
この宅建士資格の名義貸しの行為も違法であり、罰則を受けて宅建士資格の取り消しの対象になります。
誤解がないように言っておくと、名義貸しが悪いのであって、他で仕事をしながら宅建士として登録して不動産会社に従事することは問題ありません。
その場合は「非常勤の宅建士」「専任ではない宅建士」という扱いになります。
専任の取引主任者として登録することはできませんので気をつけてください。
宅建の名義貸しの相場はどのくらいなの?
宅建士の名義貸しの相場や報酬がどのくらいなのか、気になっている方は多いのではないでしょうか。
名義貸しは完全な違法行為であるにも関わらず、Webで検索すると堂々と募集していて、びっくりするほどです。
「名義貸し」とは記載されていないものの、「週1~で資格手当あり」「1日3時間~OK」と募集要項に記載されている案件は、名義貸しの可能性があります。
不動産企業の求人等などを確認してみたのですが、名義貸しと疑がわしい業務の相場は、月あたり1万円から5万円程度が多い、と感じます。
一般の宅建の資格手当と比べ、2~3倍も報酬が貰えることもあるのです。
※宅建の資格手当の相場はどのくらいなのかは、こちらのページをご覧になってください。
宅建士を募集する広告で、条件のよいパートやアルバイトの案件は、名義貸しの可能性あり!です。
借りた不動産会社はもちろんのこと、宅建士の名義を貸した個人も罰せられますので注意してください。
宅建士の名義貸しが募集されている理由
なぜ違法とわかっていながら宅建士の名義貸しを行う不動産業者があるのでしょうか。
ここでは、求人で宅建士の名義貸しが募集されている理由について解説していきます。
事務所には常勤の従業員5名に対して1名の専任宅建士が必要
宅建士の名義貸しは、違法性が広く知られているものの依然として無くなりません。それは、宅建業を営む事務所には社員5名に対して1名以上の割合で専任宅建士を設置することを、宅建業法が求めているからです。
上記の必置義務をクリアしないと、宅建業を営むことができません。
つまり、宅建士の人材の確保で悩んでいる事業所は、許可を得る目的で宅建士の名義貸しを募集するわけです。
宅建士の必置義務を守れないと廃業になる
宅建業として新しい事務所を開設するには、必要数の専任宅建士を登録しないといけません。
逆に言えば宅建士の必置義務を守れない事業所は、必然的に廃業という形になります。
仮に何とか専任の宅建士を見つけて資格登録をして開業しても、その人が辞めると新しい宅建士を探さないといけません。
中々専任の宅建士が見つからないケースもありますので、「1ヵ月で3万円くらいの報酬を支払って名義を貸してもらえるなら…」と考える業者が存在するわけです。
宅建の名義貸しで一時的に廃業を免れることはできますが、バレた時は事務所撤廃に追い込まれます。
名義を貸す宅建士の方にも、重い罰則が課せられますので、「宅建の名義貸しは非常勤で月5万円が相場だから美味しい」などと考えるのはとても危険ですよ。
名義貸しの宅建士は、辞めるリスクが低い
「不動産会社での仕事がきついから辞めたい…」と考えている方は少なくありません。
仕事内容によっても変わりますが、不動産会社のよくある退職理由は次の4つです。
- 毎月の営業ノルマを達成できないと上司から詰められてパワハラを受ける
- 中々数字が上がらなくて社内にいづらくなってしまった
- ずっと営業マンで将来性が見えない
- 給与面や待遇面に不満を抱えている
人の入れ替わりが激しい業界で、専任の宅建士を雇っても辞めてしまったら新しい人材を確保しないといけません。
宅建の名義貸しはタダで給料をもらっているような形ですので、他の従業員と比べると辞めるリスクは低くなります。
自社のサラリーマンよりも長く会社に在籍してくれる可能性が高いため、宅建士の名義を貸してくれる人を募集しているわけです。
宅建の名義貸しには損害賠償のリスクあり…
専任の宅建士は不動産取引や独占業務において、重要な役割を果たさないといけません。
もし取引や売買で何かしらの問題があると、取引上の損害賠償を請求されることがあります。
宅建士の名義貸しをしていた場合、名義を貸していた側に責任を押し付けられ、無保険にも関わらず損害賠償を請求される、という大きなリスクを背負う可能性もあります。
一度名義貸しをすると最低でも5年間は会社の名簿に残りますので、「そろそろバレそうだからやめた方が良いかも…」と考えても遡って責任を問われるケースもあります。
宅建の名義貸しはバレない? ばれる?
「宅建の名義貸しが宅建業法違反だと分かったけど、美味しい仕事だからやってみたいな」
そう考える人もいるかも知れません。
しかし、名義貸しの通報でバレることは実際にあります。たとえば、あなたが宅建業者の社長と名義貸しの契約を結んでいたとして、他の社員(同僚)が内部告発をするケースなどはよく聞きます。
また、以下のとおり、一般の方でも簡単に名義貸しを告発することができます。
本名バレしてたら県庁で閲覧申請できんだよな。んで宅建士の番号調べて、次に宅建協会にリークしたら、今までその免許で使ってた事業名、事業所バレるんすよね。
調査も入りますし、名義貸しバレたら懲役を含む罰金刑ですね。まぁちゃんと働いていた証明があるのであれば良いんじゃないですかね。
— なせ王魔 (@anes_uoam) December 15, 2022
そのため、簡単に宅建士の名義を貸してはいけないと心得ておいてください。
また、比較的高い報酬を提示して「非常勤で良いから専任の宅建士になってよ」などと宅建業者が交渉してくるケースもありますが、宅建業法上、「非常勤の専任の宅建士」という概念はあり得ません。
そうした依頼は、実質的に名義貸しの依頼ですので、注意してください。
宅建士は副業禁止?
「専任の宅建士になったら、一切副業はできないのだろうか?」
と、ちょっと不安になった人もいるかも知れません。しかし、そんなことはありません。宅建業法上、名義貸しが禁止されているだけで、専任の宅建士が休日に副業をすることを禁じている法律はありませんので、安心してください。
所属する企業が副業を禁止していないかどうか、確認する
ただし、副業を希望する場合は、所属する企業で
「副業が認められているかどうか」
を確認することは大切です。
近年では、「働き方改革」の推進もあり、副業を可とする会社も徐々に増加しています。しかし、自分の会社がOKなのかハッキリわからない場合は、自社の就業規則などを確認しましょう。
副業は、ばれない?
それでも、副業禁止の企業に所属している場合はどうすれば良いのでしょうか?
結論から言えば、「副業に掛かる住民税を普通徴収にすることで、副業はばれない」ということになります。
- 普通徴収:住民税の納付書を自宅に送ってもらう方法で、自分自身で住民税を納付する方法
- 特別徴収:所属する会社の給与から天引きする方法
住民税の納付方法は上記2つがあり、特別徴収の場合は、その(本業の)会社に対して「副業にかかる住民税額の通知」が送付されてしまい、即座に副業収入が存在がバレてしまいます。
確定申告はしっかり行う
そして、無事副業が実施できた場合、年間で副業所得が20万円を超えるようでしたら、税金(確定申告)の申請はきちんと行いましょう。
宅建の小遣い稼ぎの方法は?
名義貸しはNGですが、宅建士が副業や小遣い稼ぎとして出来る代表的な仕事には、以下のようなものがあります。
- 非専任の宅建士(パート・アルバイト)として、独占業務を行う
- 宅建資格の講師
- 不動産系ライター
肝心の報酬ですが、選ぶ業種にもよりますが、長期的にコツコツやれば年間100~120万円程度にはなるはずです。
具体的な副業の種類については、下記の記事を参考にしてみてください。
まとめ
宅建の名義貸しで報酬をもらうのは、不動産会社にも自分にも罰則があるとおわかり頂けましたか?
「専任の宅建士が足りない」「宅建士の必置義務を守れない」「辞めるリスクが低い」という理由で、未だに宅建の名義貸しを募集している会社はあります。
もしバレると資格はく奪や3年以下の懲役または300万円以下の罰金などの処分が課せられますので、絶対に関わらないよう注意してください。