宅建コラム

宅建士の独占業務は増える?今後の需要や将来性についてまとめてみた!【2022年最新版】

宅建士の需要と将来性

宅建の資格に需要はあるの?

これから宅建士の資格取得を目指すに当たり、需要があるのかどうか気になるところですよね。

できる限り需要のある資格を取得し、日々の業務に活かして年収のアップやキャリアアップに繋げたいと考えるのは不思議ではありません。

結論から言うと、宅建士は需要のある資格です。

宅建士の資格には、時代や流行に左右されない一定の需要が続いており、このことが宅建士の大きなメリットです。

このページでは、宅建の資格の需要が高い理由について詳しく解説します。

不動産取引の専門家になれる

宅建士の需要が高いのは、資格を取得することで不動産取引の専門家になれるからです。

不動産取引では、「売り手が不動産業者」「買い手が一般人」という構図が多くなります。

不動産に関する知識が不足している一般の方々を保護するため、宅建士は存在していると言っても過言ではありません。

もし宅建士がいなかった場合、買い手である一般人は不動産業者と不利な契約を結んでしまう恐れがあります。

つまり、宅建士は不動産の売買や賃貸の仲介を取り扱う業者と専門知識を持たない一般人を繋ぐ存在ですので、これからも需要がなくなることはありません。

不動産会社では5人に1人以上の割合で宅建士が必要ですので、年齢や性別に関係なく不動産業界の就職や転職で有利に働きますよ。

資格の保有者しかできない独占業務がある

資格を持つ方しかできない独占業務があるのは、宅建士の需要が高い理由の一つです。

次の3つの業務は、宅建士しかできない独占業務に定められています。

  • 重要事項説明(不動産の購入や借りる人に対して物件や取引に関する説明を行う)
  • 重要事項説明書面への記名押印(重要事項を記載した書面に間違いがないか確認して記名や押印を行う)
  • 契約書への記名押印(37条書面の内容に間違いがないか確認して記名や押印を行う)

どれだけ不動産業界で実務経験があったとしても、宅建士の資格を持たない方はこの3つの業務ができません。

宅建士でもないのに偽って顧客に対して独占業務を行うと、それは宅建業法違反になります。

不動産会社はできる限り多くの宅建士を置きたいと考えていますので、独占業務ができる資格保有者は重宝されやすいわけです。

宅建士の独占業務は増える?

現在、前述の3つ以外に新しく「宅建士の独占業務が増える」と確定した情報はありません

ただし、すべてのケースでIT重説(Web会議などを利用した重要事項説明)が認められるなど、ますます宅建士の活躍の場が広がっています。※自宅からリモートで重説を行うリモート宅建士も増えそうですね。

一方、重要事項説明書の項目はどんどん増えています。これからも宅建士は日々勉強が必要・・・ということですが、その分、ますます資格の価値は高くなること間違いありません。

試験の申込者数や受験者数が年々増えている

このページでは、宅建士の試験の申込者数や受験者数のデータをまとめてみました。

宅建の試験年度 申込者数 受験者数 合格者数
平成22年度 228,214名 186,542名 28,311名
平成23年度 231,596名 188,572名 30,391名
平成24年度 236,350名 191,169名 32,000名
平成25年度 234,586名 186,304名 28,470名
平成26年度 238,343名 192,029名 33,670名
平成27年度 243,199名 194,926名 30,028名
平成28年度 245,742名 198,463名 30,589名
平成29年度 258,511名 209,354名 32,644名
平成30年度 265,444名 213,993名 33,360名

このデータを見てみると、宅建試験の申込者数や受験者数は年々増えています。

合格者数も増えていますのでライバルが多くなったとも考えられますが、宅建士の需要が高い何よりの理由ですね。

不動産の購入や賃貸は私たちの生活と密接に関わっていますので、宅建士の受験者数が著しく減少することはないでしょう。

不動産業界以外にも就職先の候補がある

「宅建士の資格は不動産業界でしか活かせないのでは?」とイメージしている方はいませんか?

一般的に宅建士は土地の売買や賃貸の仲介がメインの業務になりますので、不動産会社で働く形になります。

しかし、不動産業界以外にも就職先の候補があるのは、宅建士の資格の需要が高い理由の一つです。

以下では、宅建士が不動産業界以外でどう活躍できるのか解説していきます。

  • 金融業界ではローン審査の担保になる不動産を評価する際に役立つ
  • 保険業界では住宅関連の保険商品を組む際に活かせる
  • 建設業界では自社物件の販売を行う建築会社で役立つ

宅建士の資格を持っているだけでも、「金融業界」「保険業界」「建築業界」で自分をアピールして就職や転職を有利に進めやすいわけです。

宅建の試験では不動産関連の知識に加えて、お金のトラブルのルールについて定めた民法や税金を取り扱う税法に関する問題が出題されます。

つまり、宅建士の試験に合格すればその知識を兼ね備えた人材だと判断されますので、あらゆる業界で重宝されても不思議ではありません。

毎月の給与に資格手当が加算される

宅建士の平均年収は400万円~500万円程度で、年齢別のデータを見ていきます。

年齢 平均年収 平均月収 ボーナス
20歳~24歳 307.8万円 19.2万円 77.0万円
25歳~29歳 383.4万円 24.0万円 95.9万円
30歳~34歳 421.2万円 26.3万円 105.3万円
35歳~39歳 480.6万円 30.0万円 120.2万円
40歳~44歳 540.0万円 33.8万円 135.0万円
45歳~49歳 604.8万円 37.8万円 151.2万円
50歳~54歳 648.0万円 40.5万円 162.0万円
55歳~59歳 642.6万円 40.2万円 160.7万円
60歳~65歳 437.4万円 27.3万円 109.4万円

参考:https://heikinnenshu.jp/fudousan/takuken.html

同じ不動産会社で働く人でも、宅建士の資格を持つ方と持たない方では年収が変わります。

それは宅建士の資格を持っているだけで、毎月1万円~3万円程度の資格手当が加算されるからです(企業によって手当の額は変わります)。

1ヵ月間で2万円の資格手当が支給されると仮定すると、1年間では24万円にもなります。

資格があるのとないのとでは給与に大きな差が生じますので、宅建士は不動産と関連する資格の中でも需要が高いのです。

宅建の資格手当については、下記の記事も参考にしてください。

宅建の資格手当
宅建の資格手当の相場はいくら?ズバリお答えします!こんにちは、トシゾーです。 私は、宅建試験合格後も、宅建とは直接関係ない業界で働いています。 しかし、将来は「不動産関係の仕...

 

宅建の資格を取得するメリット

宅建士の資格の需要が高い理由についておわかり頂けましたか?

不動産業界において宅建士の資格は必須ですし、金融業界や建築業界でも役立ちます。

上記で解説した内容と被る部分もありますが、宅建の資格を取得するメリットや魅力について見ていきましょう。

  • 不動産会社への就職や転職で他の求職者と差別化を図ることができる(採用率がアップする)
  • 試験の合格率は15%前後で、他の国家資格と比較してみると取得しやすい
  • 実務経験があるに越したことはないが、未経験者でも歓迎してくれる求人が多い
  • マンション管理士やファイナンシャルプランナー、行政書士など他資格へのステップアップに繋がる

自分の履歴書の中に、「宅建士」という資格名を書けるのは大きなメリットです。

不動産会社では宅建の資格保有者を優先的に採用する傾向がありますので、就職や転職で大きな武器になるのは間違いありません。

宅建の資格の将来性についてまとめてみた

「今は宅建士の需要があるみたいだけど、将来性はどうなの?」と不安を抱えている方はいます。

試験に合格するまでにはそれなりの努力が必要ですので、将来性があるのかないのかは重要ですよね。

近年では、「AI(人工知能)が様々な仕事を奪うのでは…」と不安視される声が上がっています。

AIに奪われやすい業種や職種は、「IC生産オペレーター」「一般事務員」「クリーニング取次店員」「警備員」「自動車塗装工」「宅配便配達員」「駐車場管理人」「データ入力係」「包装作業員」が代表的です。

しかし、不動産の販売は対面でのやり取りが大事ですので、AIに仕事を奪われる可能性は限りなく低いと考えられます。

自分が不動産の買い手や売り手だとしたら、AIではなく信頼のおける人に依頼したいと考えるのが普通です。

不動産は時代が移り変わっても私たちの日常生活と密接な関係性がありますので、宅建士の力が不要になることはありません。

この点からも、宅建士の資格には将来性が十分にあると判断できます。

AIでは宅建の仕事を代替するのは難しいため、不動産業界で活躍したい方は資格取得の勉強に取り組んでみてください。

まとめ

不動産の売買や取引を仲介する宅建士は、需要が高くて将来性のある資格です。

「不動産取引の専門家になれる」「独占業務ができる」「受験者数がどんどん増えている」「不動産業界以外にも就職先が多い」など、需要の高い資格だと判断できる理由はたくさんあります。

宅建試験の難易度は皆さんが想像しているほど高くはありませんので、不動産業界で働きたい方はチャレンジしてみてください。

著者情報
氏名 西俊明
保有資格 中小企業診断士 , 宅地建物取引士
所属 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション