宅建試験の科目別の配点は?
宅建試験は数多くの資格の中でも人気で、毎年20万人以上が受験しています。
この宅建試験を受けるに当たり、特に、これから勉強を始めようしている方などは「科目別の配点はどうなっているの?」と気になりますよね。
宅建試験の出題範囲は、「権利関係」「宅建業法」「法令上の制限」「税・その他」の4つで、全てをトータルすると50問(50点)ですね。
まず最初に、宅建試験の科目別の配点から詳しく見ていきましょう。
宅建の試験科目 | 出題数 | 問題番号 | 得点目標 | 出題される法律名 |
---|---|---|---|---|
権利関係 | 14問(14点) | 第1問~第14問 | 9点 | 「民法」「借地借家法」「区分所有法」「不動産登記法」 |
法令上の制限 | 8問(8点) | 第15問~第22問 | 5点 | 「都市計画法」「建築基準法」「国土利用計画法」「農地法」「宅地造成等規制法」「土地区画整理法」 |
宅建業法 | 20問(20点) | 第26問~第45問 | 18点 | 「宅建業法」「住宅瑕疵担保履行法」 |
税・その他 | 8問(8点) | 第23問~第25問、第46問~第50問 | 5点 | 「不動産鑑定評価基準、地価公示法」「税法」「住宅金融支援機構」「景品表示法」「統計」「土地」「建物」 |
宅建士の試験は他の資格試験とは違い、科目別の足切りは特に設定されていません。
4科目のトータルの得点がその年の合格基準点を超えていれば、見事宅建試験に合格できますよ。
宅建試験には登録講習の受講で5点免除あり!
宅建は不動産業界の中で標準の資格と言われていますが、誰でも受かるような簡単な試験ではありません。
そこで、宅建の試験に合格する確率を少しでも上げるために、登録講習を受講するのは選択肢の一つ!
宅建の登録講習は、宅地建物取引業法第16条第3項及び同法施行規則第10条の2の規定に基づいて実施されている法定の講習です。
宅地建物取引業に関する業務の適正化や資質の向上を図る目的で登録講習が実施されるようになりました。
次の3つの条件をクリアした受験生は、宅建試験の税金その他の第46問~第50問が免除されます。
- 所定の履修科目の通信講習を受講する
- 10時間のスクーリングに出席する
- 修了試験で7割以上を正解する
本番の試験の5点免除を受けられるのは、宅建の登録講習の大きなメリットです。
具体的には、「住宅金融支援機構」「景品表示法」「統計」「土地」「建物」の5問が免除されます。
一般の宅建試験の受験者と比較してみると、登録講習修了者の方が試験の合格率が7.7%アップしたとのデータが出ていました。
参考:登録講習とは/受講要件(LEC東京リーガルマインド) https://www.lec-jp.com/takken/kouza/menjo/about.html
「宅地建物取引業に就いている」「従業者証明書を持っている」という方は、宅建の登録講習を受けて5点免除を適用させられます。
※「登録講習」について詳しくは、下記の記事も参考にしてください。
宅建試験の合格点の推移!
宅建試験は相対評価の制度が採用されていますので、毎年合格点が変わるのが特徴ですね。
必ずしも本番の試験で満点を取らなければならないわけではありませんが、合格点以上の得点をしなければ試験に合格できません。
ここでは、宅建試験の合格点や合格率が年度によってどう推移しているのか見ていきます。
試験年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格点 |
---|---|---|---|---|
平成20年 | 209,415人 | 33,946人 | 16.2% | 33点 |
平成21年 | 195,515人 | 34,918人 | 17.9% | 33点 |
平成22年 | 186,542人 | 28,311人 | 15.2% | 36点 |
平成23年 | 188,572人 | 30,391人 | 16.1% | 36点 |
平成24年 | 191,169人 | 32,000人 | 16.7% | 33点 |
平成25年 | 186,304人 | 28,470人 | 15.3% | 33点 |
平成26年 | 192,029人 | 33,670人 | 17.5% | 32点 |
平成27年 | 194,926人 | 30,028人 | 15.4% | 31点 |
平成28年 | 198,463人 | 30,589人 | 15.4% | 35点 |
平成29年 | 209,354人 | 32,644人 | 15.6% | 35点 |
平成30年 | 213,993人 | 33,360人 | 15.6% | 37点 |
令和元年 | 220,797人 | 37,481人 | 17.0% | 35点 |
宅建試験の合格率は15%~17%で推移していますが、合格点は31点~37点とかなり差があります。
4つの分野のバランスを考慮し、メリハリをつけて勉強して合格ラインを目指すのが宅建試験の合格で必要なポイントです。
宅建試験の科目別の得点目標!
宅建試験の合格点の推移についてわかったところで、今度は科目別の得点目標を解説していきます。
効率的に合格するには満点を目指す勉強法ではなく、目標のスコアを取得する勉強が欠かせません。
簡単な問題を確実に正解にして点数を伸ばせば、効率良く宅建の試験に合格できますよ。
宅建業法は20問中18点
宅建士の業務の中で、宅建業法の出番は必然的に多くなります。
宅建試験での配点も大きく、重点的に勉強する必要があります。一方で、難易度も他の科目と比較して低いので、得点目標は20問中18点と高くなります。
宅建業法を得意分野にして9割以上の正解率を実現できれば、宅建試験に合格できる確率もアップしますよ。
満点を取らなくても大丈夫ですが、18点を目標にして取り組みましょう。
権利関係は14問中9点
宅建の試験では、宅建業法の次に権利関係の問題数が多くなっています。
範囲が広くて難易度の高い民法に関する問題が出題されますので、権利関係の得点目標は14問中9点が目安です。
試験範囲が広くて十分な対策ができない傾向も強いため、権利関係が苦手なら7点、得意なら10点を目標に設定しましょう。
もちろん、権利関係の目標を7点とする方は、他の科目で取り戻さなければなりません。
法律上の制限は8問中5点
宅建試験の法律上の制限は、8問中5点を目標に勉強に取り組むのがポイントですね。
法律上の制限は覚える内容がかなり多いため、宅建試験の対策で苦労する受験生は少なくありません。
しかし、8問全てを捨てるのは、とても他の分野でカバーできないため現実的ではありません。得点しやすい法令については落とさないようにして、5点くらいの正答を狙うのが無難です。
税・その他は8問中5点
宅建試験における税・その他は、雑多な法令をまとめて勉強する形になります。
不動産所得税や登録免許税を中心とした税法を始め、多くの分野から出題されますのでややこしいのですが、8問中5点を目標にして得点できるようにしましょう。
税・その他の試験科目を手堅く得点できるようになれば、宅建試験の合格率はアップします。
宅建試験の科目別の勉強法を徹底解説!
宅建試験に確実に合格するには、科目別の勉強法についてきちんと押さえておくことが必須です。
分野ごとの出題傾向に合った勉強に取り組むと、宅建試験に合格できる可能性は高くなります。
これから宅建試験を目指そうとしている受験生は、こちらのページを参考にしてみてください。
最初に宅建業法の勉強から始める
宅建試験の対策を行うに当たり、最初に宅建業法の勉強から始めるのがポイント!
宅建試験において宅建業法が最も出題数が多いため、重要な科目ということもありますが、一方で、「宅建試験でもっとも易しい科目」でもあり、初学者でもスムーズに勉強に入っていきやすいのです。
宅建試験のテキストや参考書を見てみると、宅建業法が最初に出てきます。
まずは宅建業者が営業を行う際に必要なルールや頻出分野の35条書面を中心に勉強を進めましょう。
テキストや参考書を読み込むだけではなく、ひっかけパターンの過去問を繰り返し解いていると宅建業法を得意分野にできます。
宅建業法は条文数も少なく、10年分の過去問をこなせば、ほぼすべての論点を対策することになります。
10年分の過去問を複数回まわすことができれば、満点も見えてきますよ。
※宅建業法の勉強法について詳しくは、下記の記事も参考にしてください。
※宅建の科目別の勉強の順番、勉強時間などについては、下記の記事も参考にしてください。
テキストの内容を中心に権利関係を勉強する
権利関係は問題数が多く難易度も高いため、目標スコアを達成するために重点的に勉強しないといけません。
宅建試験の権利関係の勉強法で押さえておきたいポイントは次の4つ!
- 過去10年間の過去問を見て頻出分野を掘り下げて学習する
- 出題数の多い民法は、原則と例外を意識して勉強する
- 民法の条例や判例の丸暗記ではなく、「考え方(背景)」を理解する
- 難問も多いため、1つの問題に対し、あまり固執・深追いしないようにする
民法は範囲が広くて難しい問題を作ろうと思えば作れますので、基本的にはテキストや参考書に載っている内容を勉強すればOKです。
※民法の勉強法について詳しくは、下記の記事も参考にしてください。
法令上の制限は、専門用語に慣れるまでが勝負!
都市計画法や建築基準法など、法令上の制限で出題される法令は、一般の方に馴染みのない専門的なものばかりです。
そのため、初学者にとって苦手意識を持ちやすい分野です。
専門用語や数字の羅列のオンパレードのように感じられ、「まったく頭に入らない!」と感じる方も多いでしょう。
しかし、法令上の制限の問題には基本に忠実なものが多く、一度条文の内容を押さえれば、得点がしやすいです。
むしろ、最終的には得意科目にしてしまう方も多い科目ですので、あきらめずに頑張ってみてください。
※法令上の制限の勉強法について詳しくは、下記の記事をどうぞ!
税・その他は法改正のポイントを中心に勉強する
税・その他の科目では、雑多な科目の寄せ集め的なところがあり、
「取り組みやすい分野」と「取り組みにくい分野」の差
がはっきりしています。
これは様々な分野からの寄せ集め科目である以上、仕方がないと割り切るしかありません。
そのうえで、勉強する分野によって、最適なスタイルで学習することが、もっとも効率的な学習ができるコツとなります。
税・その他の勉強法について詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
まとめ
宅建試験の配点や得点目標、科目別の正しい勉強法についておわかり頂けましたか?
宅建試験の合格点は31点~37点におさまっていますので、「宅建業法は18点」「権利関係は9点」「法律上の制限は5点」「税金その他は5点」を目標に勉強すべきです。
科目による足切りは特にありませんので、得意・不得意を見据えて宅建試験の対策を始めてみてはいかがでしょうか。
著者情報 | |
氏名 | 西俊明 |
保有資格 | 中小企業診断士 , 宅地建物取引士 |
所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |