こんにちは、トシゾーです。
今回は、建築基準法の概要、および建築確認に関する記事です。
私達は日々、自宅で過ごし、会社や学校などに通学・通勤します。その他にも、デパートやスーパー・劇場などで買い物・観劇をするなど、私達の生活と建築物は密接な関係にあります。
このような建築物が壊れやすかったり、火事で燃えやすかったりすると困りますよね。
そこで、建築基準法では、様々な建築物に求められる最低限の基準が定められているのです。
そう考えると、建築基準法は、宅建士が持つべき重要な知識であることも理解できますよね。
一方で、建築基準法は範囲が広く、暗記すべき数値も多いことから、多くの宅建受験生が苦手としている科目でもあります。
この記事では、できるだけ分かりやすく建築基準法の概要、および建築確認について説明していきますので、全体像だけでも理解して、まずは苦手意識を取り払って欲しいと思います。
建築基準法の概要
建築基準法の目的
建築基準法の第一条に、以下のように目的が記載されています。
この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
引用:建築基準法(e-gov)
建築基準法の出題数
宅建試験において、建築基準法は例年2問出題されます。
建築基準法の勉強のポイント
前述のとおり、出題範囲が広く、暗記項目が多い科目であり、多くの受験生が苦手としています。
まずは頻出の「集団規定」を中心にテキストを1周し、早い段階で過去問にあたりましょう。
範囲は広いとは言え、出題される箇所は限られていますので、頻出の箇所を中心に覚えていくのが勉強法のポイントとなります。
建築基準法の適用除外
建築基準法の適用除外としては、次の2つを押さえてください。
- 文化財保護法により指定された国宝・重要文化財にあたる建築物
- 古い建物で、建築基準法の改正により、現在の建築基準法の規定に不適合となってしまった建築物。これを「既存不適格建築物」といい、改正後の規定は適用されないことが原則となっている
単体規定と集団規定とは?
単体規定
1つ1つの建物に課されるルールであり、日本中どこにある建物にも適用されます。
集団規定
建物が密集する地域において、周りの環境に応じて、複数の建物に適用されるルールです。
都市計画区域および準都市計画区域内のみにおいて適用されます。
建築確認
建築確認とは?
建物を建てる前に、「これから建築する建物は、建築基準法などのルールを守って建てられようとしているか」をチェックするものが「建築確認」です。
建築確認は、「一定以上の規模の建築物」においては必ず必要です。それ以外の建築物には、建築確認が必要なケースと不要なケースがあります。
建築確認が必要な、一定以上の規模の建築物とは?
建築確認が必要な、一定以上の規模の建築物には、以下の3種類あります。
規模の大きい特殊建築物
特殊建築物には、以下のようなものが挙げられます。
劇場、映画館、集会場、学校、体育館、ホテル、病院、共同住宅、コンビニ、百貨店、工場、と畜場、火葬場、汚物処理場、倉庫、バー、自動車車庫
引用:建築基準法(e-gov)
これらは不特定多数の人々が利用するものであり、特に防災上の配慮が必要なことから、特別な扱いをされています。
こうした特殊建築物のうち、実際に特定用途に使われる部分の床面積が200㎡を超えるものを、規模が大きい特殊建築物としています。
規模の大きい木造建築物
木造建築物のうち、以下のいずれかに該当するものは、規模の大きい木造建築物として扱われます。
- 3以上の階数の建築物(地下も含む)
- 延べ面積が500㎡超
- 高さ13m超
- 軒高9m超
規模の大きい木造以外の建築物
木造ではない建築物のうち、以下のいずれかに該当するものは、規模の大きい木造以外の建築物として扱われます。
- 2以上の階数の建築物(地下も含む)
- 延べ面積が200㎡超
建築確認が必要となるケース
つづいて、建築確認が必要なケースの詳細を見て行きましょう
ここでは、前項で説明した一定以上の規模が大きい建築物(3種)と、それ以外の建築物について説明します。
一定以上の規模が大きい建築物(3種類)について
一定以上の規模が大きい建築物は、原則として、以下のいずれのケースにおいても建築確認が必要です。
- 新築
- 増築・改築・移転(一部例外あり)
- 大規模修繕
- 大規模模様替
- 一定以上の特殊建築物への用途変更(一部例外あり)
上記のうち、例外について説明します。
まず、(2)増築・改築・移転ですが、床面積の10㎡未満の部分の増築・改築・移転であれば建築確認が不要です。
ただし、防火地域や準防火地域では、どのような床面積であっても建築確認は必要です(例外なし、ということ)。
(5)一定以上の特殊建築物への用途変更ですが、これは「一定以上の規模の特殊建築物→別の、一定以上の規模の特殊建築物」の場合も含まれます。
ただし、例外として「劇場→映画館」のように、類似の用途に変更する場合は、建築確認は不要です。
一定以上の規模が大きい建築物(3種類)以外の建築物について
一定以上の規模が大きい建築物(3種類)以外の建築物については、以下の区域内においては、(1)新築、(2)増築・改築・移転について、建築確認が必要です。
- 都市計画区域
- 準都市計画区域
- 準景観地区
なお、防災地域・準防災地域以外の区域では、床面積の10㎡未満の部分の(2)増築・改築・移転であれば建築確認が不要です。
建築確認と完了検査の手続き
建築確認の流れ
建築確認は以下の流れで実施します。
(1)建築確認の申請
建築主は、建築主事または指定確認検査機関に申請を行います。
(2)申請書の受理~建築確認
建築主事(または指定確認検査機関)は、申請を受理した後、以下の期間内に審査しなければなりません。
- 規模の大きい建築物:35日以内
- その他の建築物:7日以内
また、建築主事などは、建築確認にあたり、管轄の消防長または消防署長の同意を得る必要があります(原則)。
さらに、一定の建築物については、建築主は都道府県知事などに「構造計算適合性判定」を受けるための申請を行います。
(3)確認済証の交付
建築主事などは、申請が建築基準関係規定に適合する場合、確認済証を交付します。
(4)工事の開始~工事の修了
確認済証の交付を受けた後、工事に着工できます。
工事が「特定工程」を含む場合、工事の途中に中間検査を受ける必要があります。
(5)完了検査
工事が完了後、4日以内に、建築主は建築主事等に完了検査を申請します。
建築主事などは、申請受理後7日以内に完了検査を行わないといけません。完了検査にて、建築物が建築基準関係規定に適合している場合、建築主に検査済証を交付します。
(6)建築物の使用開始
一定以上の規模が大きい建築物(3種類)については、原則として、検査済証の交付を受けた後でなければ利用できません。
例外として、下記の場合は検査済証の交付がなくても建築物を仮使用できます。
- 特定行政庁や建築主事などが認めた場合
- 完了検査の申請が受理されてから7日を過ぎた場合
なお、一定以上の規模が大きい建築物(3種類)以外の建築物については、工事中でも使用可能です。
著者情報 | |
氏名 | 西俊明 |
保有資格 | 中小企業診断士 , 宅地建物取引士 |
所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |