マン管・管業

マンション管理士の合格率が低い理由は?マン管の難易度ランキングはどれくらい?

マンション管理士の合格率が低い理由

マンション管理士とは?

マンション管理士とは、マンションを管理するスペシャリストを指します。

まず最初に、マンション管理士がどのような国家資格なのか、独占業務があるのかどうか見ていきましょう。

マンション管理士は、管理組合の相談に乗ったり、支援をしたりする国家資格

マンション管理士は専門的な知識を持ち、管理組合の相談に乗ったり支援したりする国家資格です。

他にも、マンションの適切なコンサルティング業務も同時に行います。

法律によって一定の社会的地位が保証されますので、マンション管理士の信頼性は高いですね。

マンション管理士には独占業務はない

「国家資格=独占業務を持つ」とイメージしている方はいます。

しかし、マンション管理士には独占業務がありません。

資格の保有者しかできない業務はないものの、マンション管理士の需要や将来性は十分にありますよ。

マンション管理士試験の難易度は?

マンション管理士を目指すに当たり、「難易度は高い?それとも低い?」と疑問を抱えている方はいませんか?

ここでは、マンション管理士の合格率や試験の合格の必要な勉強時間について解説していきます。

マンション管理士の合格率は7~9%

近年のマンション管理士の受験者数や合格者数、合格率のデータは下記の通りです。

試験年度 受験者数 合格者数 合格率
平成26年度 14,937名 1,260名 8.4%
平成27年度 14,092名 1,158名 8.2%
平成28年度 13,737名 1,101名 8.0%
平成29年度 13,037名 1,168名 9.0%
平成30年度 12,389名 975名 7.9%
令和元年度 12,021名 991名 8.2%
令和2年度 12,198名 1,045名 8.6%
令和3年度 12,520名 1,238名 9.9%

合格率は7%~9%を推移していますので、マンション管理士の難易度はかなり高いことがわかります。

マンション管理士の合格に必要な勉強時間は500~600時間

マンション管理士試験に合格するまでには、500~600時間の勉強時間が必要です。

1日に3時間に渡って勉強したと仮定すると、約半年間はかかりますね。

法律や不動産など幅広い分野を勉強する形になりますので、マンション管理士の試験範囲は広いと心得ておきましょう。

マンション管理士試験の合格ライン(合格点、ボーダーライン)は?

マンション管理士試験は50点満点で、合格ライン(合格点、ボーダーライン)は下記の通りです。

試験年度 合格点
平成26年度 36点
平成27年度 38点
平成28年度 35点
平成29年度 36点
平成30年度 38点
令和元年度 37点
令和2年度 36点
令和3年度 38点

試験年度で違いがありますが、35点~38点がマンション管理士試験の合格ラインの目安になります。

マンション管理士の合格率が低い理由は?

なぜマンション管理士の合格率が低いのか、考えられる理由をいくつか見ていきましょう。

出題範囲が広い

マンション管理士試験の合格率が低い一番の理由は、出題範囲が広いからです。

下記の項目で詳しく解説していますが、マンションの構造や設備、不動産関連の法律など様々な分野の勉強をしないといけません。

受験資格に制限がない

マンション管理士の試験に受験資格はなく、年齢や学歴、実務経験に関わらず誰でもチャレンジできます。

受験のハードルが低いことで受験者数が増えやすいため、全体的な合格率が低くなっているわけですね。

難解な法律系の問題が多い

マンション管理士の試験は、区分所有法・民法・借地借家法・被災マンション法などの法律問題が出題されます。

難解な法律系の問題が多いのは、マンション管理士の合格率が低い理由です。

そもそも、士業として独立を目指す資格のため、難易度の高い設定がされている

マンション管理士は、士業として独立を目指す資格です。

そのため、他の試験と比較してみると難易度の高い設定がされていますよ。

もちろん、マンション管理士の資格を取得して就職や転職に活かすことも可能です。

管理業務主任者試験のついでに受験する人がいる

マンション管理士と似た資格として、管理業務主任者試験があります。

管理業務主任者とは、マンションの保全や管理運営に関する総合的なアドバイスを行う専門家です。

管理業務主任者試験のついでにマンション管理士を受験する人は少なくありません。

「管理業務主任者」⇒「マンション管理士」とステップアップするのが基本ですが、ついでに受けて合格できるほど甘い試験ではないので、合格率が低くなります。

<まとめ>合格率を気にし過ぎても仕方がない

結論として、マンション管理士の試験の合格率を気にし過ぎても仕方がありません。

マンション管理士の合格率だけ見ると、あまりにも低すぎて試験を受ける気が失せる気持ちはわかります。

しかし、本試験で38問を正解すればほぼ合格できますので、自分が合格点をクリアすることだけに専念しましょう。

マンション管理士の難易度ランキング

このページでは、マンション管理士の難易度ランキングを紹介していきます。

合格率から見た難易度ランキング

まず最初に、マンション管理士と他の資格の合格率から見た難易度ランキングを挙げていきます。

資格名 合格率
社会保険労務士 6%~7%
マンション管理士 7%~9%
土地家屋調査士 8%~9%
行政書士 11%~15%
宅建士 15%~17%
管理業務主任者 20%~23%

宅建士や管理業務主任者など同じ不動産系の資格と比較し、マンション管理士の合格率はかなり低いですよ。

勉強時間から見た難易度ランキング

今度は勉強時間に焦点を当てて、マンション管理士と他の資格の難易度ランキングをまとめました。

資格名 勉強時間の目安
社会保険労務士 1,000時間
土地家屋調査士 1,000時間
行政書士 800時間~1,000時間
マンション管理士 500時間~600時間
管理業務主任者 300時間
宅建士 300時間~400時間

マンション管理士の合格率は低いのですが、他の士業と比べると合格に必要な勉強時間の目安はそこまで長くありません。

マンション管理士試験で出題される4科目とは?

ここでは、マンション管理士試験で出題される4科目について解説していきます。

区分所有法・標準管理規約など主要法令

マンション管理士試験の主要法令に関する科目は、区分所有法や標準管理規約です。

区分所有法はマンションに係る基本的なルール、標準管理規約はマンションの管理に関するルールを定めたものになります。

どちらも得点源となる科目ですので、きちんと勉強して基本を押さえないといけません。

民法等・管理組合の運営(会計・税務)

民法等・管理組合の運営に関する科目では、法令・判例の知識や会計・税務の知識が問われます。

試験での問題数は少ないため、あまり深追いして勉強する必要は無しです。

建築・設備関連

マンション管理士試験では、建築基準法等・建築設備に関する問題も出題されます。

マンション設備・都市計画法・建築基準法・住宅品質確保法など多くの法律が登場しますので、攻略が大変な科目の一つですね。

マンション管理適正化法

マンション管理適正化法では、マンションの良好な管理を実現するルールを定めています。

用語の定義やマンション管理士に関する知識は、試験で絶対に出題されると思っておいて大丈夫です。

マンション管理士試験の将来性は?

マンション管理士に将来性や需要があるのか気になりますよね。

マンション管理士の試験を受けようと考えている方は要チェックです。

マンション管理士は食えない、って本当?(そんなことはありません)

「マンション管理士は食えない」と、根拠の薄いうわさや悪評が独り歩きしています。

確かに、マンション管理士は資格を持つ人しかできない独占業務がありません。

しかし、まだまだ発展途上で将来性のある国家資格ですので、「資格を持っていても食えない」という話に根拠はないですよ。

マンション管理士が「役に立たない」「やめとけ」と言われる理由はこちら!

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マンションの数だけマンション管理士の需要がある

マンション管理士は今後チャンスの多い資格で、その理由は次の2つです。

  • マンション管理士試験の合格者は減少傾向にある
  • にも関わらずマンションの数は増え続けている

マンション管理士一人あたりの仕事の増加が期待できますので、これからも需要は増えていきます。

高齢化や世帯数の増加により今後の需要増加が見込まれる

日本では少子高齢化が進んでいるのにも関わらず、世帯数は増加傾向にあります。

そのため、マンション管理士は今後の需要増加が見込まれるわけですね。

居住者の高齢化が進むマンションでは特に管理組合の運営が難しくなっていますので、マンション管理士の資格を持つ方が重宝されます。

マンション管理士試験の勉強方法のポイント

マンション管理士に限った話ではありませんが、資格試験に合格するには正しい方法で勉強を続けないといけません。

ここでは、マンション管理士試験の勉強方法のポイントについて解説していきます。

まずはテキストでインプット学習

マンション管理士試験の勉強で、テキストを使ったインプット学習が最も大事です。

まずは基本テキストを読み込み、知識を頭に定着させることから始めましょう。

独学でマンション管理士の合格を目指すのであれば、次の3つのテキストがおすすめです。

  • らくらくわかる! マンション管理士 速習テキスト:幅広い試験範囲の中から必要な知識が厳選して収録されている
  • マンション管理士 管理業務主任者 Wマスターテキスト:管理業務主任者とマンション管理士の両方の試験をカバーできる
  • 出る順管理業務主任者・マンション管理士 合格テキスト:各講の導入部では学習のポイントがわかりやすく解説されている

テキストは何度も読み込む形になりますので、自分が読みやすいのかどうかで比較してください。

過去問題集でアウトプット学習

マンション管理士のテキストで知識をインプットした後は、過去問題集でアウトプット学習に取り組みましょう。

「テキストを読む」⇒「過去問題集を解く」という繰り返しは、マンション管理士の試験合格に欠かせません。

本番の試験で過去問と同じような問題が出題されることはあります。

出題傾向を掴むためにも、過去問題集を使ったアウトプットが効果的ですよ。

具体的には、民法の代理の部分のテキストを読んだらすぐに過去問を解く勉強方法がおすすめ!

テキストと問題集のセット学習の反復継続で、マンション管理士試験の合格を目指してみてください。

直前対策や予想模試(予想問題)を使って本番に慣れる

マンション管理士試験の直前対策は、予想模試(予想問題)を使いましょう。

予想模試(予想問題)では、「本番同様」「今年は○○が出やすい」といった問題が出題されます。

マンション管理士の試験対策で予想模試(予想問題)を使うメリットは次の3つです。

  • 本番同様の環境で受験することで、実際の試験で焦りや緊張がなくなる
  • 今の自分の得意分野や苦手分野など客観的な実力を把握できる
  • 合格点に足りなかった場合、どこから稼げば良いのかわかる

TACや生涯学習のユーキャンではマンション管理士の模試を受験できますので、最後の総仕上げとして利用してみましょう。

マンション管理士に無理なく合格するための裏ワザ(ただし時間は掛かる)

ここでは、マンション管理士に無理なく合格する裏ワザをいくつか紹介していきます。

ある程度の時間は掛かりますが、少しでも合格率を上げたい方は要チェックです。

まずは宅建試験に合格する

マンション管理士と宅建士には次の違いがあります。

マンション管理士と宅建士の違い
マンション管理士 マンションの維持や管理、コンサルティング業務を行う
宅建士 不動産の売買や貸借、交換などの不動産取引を行う

2つに重複する知識がありますので、最初のステップとして宅建の取得を目指し、その後にマンション管理士の試験を受けてみましょう。

宅建は簡単な試験ではないものの、マンション管理士と比較してみると難易度は低めです。

5問免除を受ける

マンション管理士の試験には、5問免除の制度があります。

5問免除とは、試験全50問の中から特定の5問が免除される仕組みですね。

つまり、他の受験生よりも合格点が5点下がりますので、合格の可能性がアップします。

マンション管理士試験の5問免除の条件は次の2つのどちらかです。

  • 管理業務主任者試験に合格し、申し込み時に受験整理票の所定欄に合格証書の合格番号を記入する
  • 平成14年4月までに実施された移行講習の課程を修了し、受験整理票の所定欄に修了番号を記入する

管理業務主任者に合格した方や移行講習を修了した方は、マンション管理士の試験の申し込み時に5問免除を申請しましょう。

管業・宅建・賃管士とのクアドラプルライセンスがあれば不動産の専門家としてさらに差別化できる

マンション管理士と他の資格のダブルライセンスを目指している方は少なくありません。

更に管業・宅建・賃管士とのクアドラプルライセンスがあると、不動産の専門家として他者と差別化を図ることができますよ。

管業・宅建・賃管士が一体どのような資格なのか見ていきましょう。

  • 管業(管理業務主任者):建物の保全や管理運営に関する総合的なアドバイスを行う専門家
  • 宅建(宅地建物取引士):不動産の売買の仲介や賃貸物件の仲介を行う不動産取引の専門家
  • 賃管士(賃貸管理士):賃貸住宅の管理に関する知識や技能を持つ専門家

全ての試験に合格するのは大変ですが、不動産のエキスパートになれば独立開業で成功できる確率がアップします。

まとめ

マンション管理士の合格率が低い理由や難易度ランキングについておわかり頂けましたか?

マンション管理士試験の合格率は7%~9%と低く、難易度はかなり高めですね。

しかし、正しい方法で勉強していれば合格点を取れますので、マンション管理士の資格取得を目指してみてください。

著者情報
氏名 西俊明
保有資格 中小企業診断士 , 宅地建物取引士
所属 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション